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子どものSOSとらえて 子育てセミナーキャラバン隊in津山  救急受診タイミング大切 判断の目安や対処法―小児科医ら助言

講演の後、会場の質問に答える(左から)後藤、国富、川崎、梶、青山の各氏

 社会全体で子どもを生み育てる環境づくりを目指す「キャッチして子どものSOS~子育てセミナーキャラバン隊in津山」(山陽新聞社会事業団主催)が八月末、津山市大田のグリーンヒルズ津山リージョンセンターで開かれた。国立総合児童センター「こどもの城」(東京都渋谷区)の山田道子・保育研究開発部長が「難しい今日の子育て―みんなで支えよう」と題して特別講演、また子どもが急な病気やけがをした時の対処法を岡山県内の小児科医から学ぶセミナーもあり、子育て、孫育て中の市民ら約百八十人が熱心に耳を傾けた。

 子どもが夜間や休日に熱を出したり、病気になると、すぐ救急外来に連れて行くか、翌日まで待ってかかりつけ医を受診するか、親は悩む。セミナーでは岡山県内の小児科医四人が講演し、そうした際の判断の目安や対処法、小児救急の現状について語った。

 津山中央病院(津山市川崎)は四月から、小児科が二十四時間体制で夜間・休日の救急外来を始めた。梶俊策・同科部長は「これまでは休日の小児科医の救急診察が午後五時半からで、その前後に患者が集中し待ち時間が長くなっていた。しかし、休日の昼間もカバーしてからは夕方の患者集中がなくなりつつある」と効果を分析した。

 同病院の救急外来を受診する年間約一万人の子どものうち、入院を要する重症は7%。大半は風邪などの軽症という。梶部長は「軽症の子どもに翌日まで待って、かかりつけ医を受診してもらえれば、重症患者を迅速に診察でき救うことになる。受診のタイミングを逃さないよう親が急を要する症状を知っておくのが大切」と理解を求め、判断材料として日本小児科学会の「こどもの救急ホームページ」を紹介した。

 救急外来を受診する子どもに最も多い症状は発熱。川崎医大(倉敷市松島)の川崎浩三助教授(小児科)によると、受診や治療の鍵となるのは月齢だ。「生後三カ月未満で三八度以上の熱なら、迷わず受診してほしい。入院して治療するのが一般的」という。一方、三カ月以降は診察後に帰宅してもらうことが多い。熱が高いと脳に影響がないか親は不安だが、「意識障害がなければ、まず心配ない」と語った。

 発熱に伴い熱性けいれんを起こす子どもも8%程度いる。その際は嘔吐(おうと)物で窒息しないよう、体を横向けに寝かし救急車を呼ぶ。発熱から二十四時間以内に起きることが多く、通常は数分で治まり意識が回復する。

 嘔吐については、岡山赤十字病院(岡山市青江)の国富泰二・小児科部長が「四回以上繰り返す場合は救急外来を受診する」との目安を示した。三回以下で家庭で治療するときは脱水を防ぐのが重要。嘔吐止めの座薬を入れ、三十分後から乳幼児用イオン飲料、スポーツ飲料を一時間に三〇~五〇ミリリットル与える。ただ、三回以下でも、おなかがはっている▽我慢できない腹痛▽元気がない―など場合は腸重積や感染症が疑われるとして、救急外来の受診を勧めた。

 下痢は四回以上の嘔吐や血便、三八度以上の熱を伴ったり、ぐったりする時は急性腸炎や感染症の恐れがあり、すぐに受診する。家庭で診る場合は乳幼児用イオン飲料やスポーツ飲料、母乳、ミルクを与え脱水を防ぐが、「番茶やさゆは塩気がなく良くない」という。

 子どもは時に大人が思わぬようなけがを負う。外傷の扱い方の基本として「感染予防に有効なのは消毒ではなく洗浄」「乾燥はよくない」と最新の知識を語ったのは岡山医療センター(岡山市田益)の後藤隆文・小児外科医長。傷の大きさや種類にもよるが、水道で洗って異物を取り除き、傷を抑えるテープなどを張っておくのが基本という。

 特に注意を促したのが頭部外傷。「出血量が他の部位に比べ多いが、外に出る出血は心配ないので慌てないでほしい」と話し、意識の有無や負傷した状況を冷静に把握するようアドバイス。その上で、繰り返し嘔吐したり、顔色がさえないなどの症状があれば専門医療機関を受診する。

 けがをめぐっては、コーディネーターの青山興司・岡山医療センター院長も最近のシュレッダー事故を踏まえ「治療より予防が大切。子どもの安全は親が守るという姿勢で、危ない所には近寄らせないでほしい」とあらためて注意を促した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年09月08日 更新)

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