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骨粗しょう症 グルタミン酸が抑制 岡山大大学院 森山教授ら発見 破骨細胞の働きに関与

グルタミン酸を分泌できなくなったマウス(上)は骨量が減り大きな空洞が見える。下は分泌可能なマウス=岡山大大学院医歯薬学総合研究科提供(写真上)

グルタミン酸を分泌できなくなったマウス(上)は骨量が減り大きな空洞が見える。下は分泌可能なマウス=岡山大大学院医歯薬学総合研究科提供(写真下)

森山芳則教授

 昆布が持つうまみの成分や神経伝達物質として知られるグルタミン酸が、骨粗しょう症の発症抑制に関与していることを、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則教授(生化学)らの研究グループが突き止めた。骨粗しょう症を改善する薬の開発が期待できる成果で、欧州有力学術誌エンボ・ジャーナル(電子版)に七日発表した。

 女性の高齢者に多い骨粗しょう症は古い骨を溶かす破骨細胞の機能異常が原因の一つとされる。研究グループは、グルタミン酸が破骨細胞の働きを抑制していると仮定し、マウスで実験した。

 アミノ酸の一種であるグルタミン酸は、神経細胞間で学習や記憶などの情報を伝える働きがあり、神経細胞には、分泌装置の「トランスポーター」とそれを受け取る「受容体」がセットで存在する。

 グループは、破骨細胞の内部にもトランスポーターがあることを遺伝子レベルで発見。グルタミン酸を分泌できないようマウスの遺伝子を破壊した結果、四カ月後に骨量は正常なマウスの30~20%程度しかなかった。

 また、細胞表面にある受容体の働きを特殊な薬で抑えたマウスだと、正常なマウスより骨を溶かす度合いが大きいという結果が出た。

 グルタミン酸がどのようなメカニズムで骨が溶け出すことを抑制するのかは不明だが、森山教授は「破骨細胞の受容体を狙って薬などでグルタミン酸を補うことができれば、骨粗しょう症の改善が期待できる」と話している。


新しい治療期待

 骨粗しょう症に詳しい松本歯科大の高橋直之教授(骨代謝学)の話 グルタミン酸が神経伝達物質としての働き以外に、骨でも情報伝達の役割があることを示しており興味深い。受容体をターゲットにした骨粗しょう症改善の新しい治療戦略が期待される。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年09月08日 更新)

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