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患者情報、介護分野と連携拡大 医療ネットワーク岡山

ネットを通じた情報の共有が在宅患者のサポートに役立つ=高梁市の訪問看護ステーション「やまびこ」

 インターネットを通じ患者の医療情報を共有する「医療ネットワーク岡山(通称晴れやかネット)」を運営する「医療ネットワーク岡山協議会」は、従来の医療機関や薬局などに加え、介護分野に連携の輪を広げる取り組みを進めている。

 同ネットワークは、患者を中心に、関係医療機関や薬局などが患者情報を共有することで、的確で効率的な医療提供につなげるのが狙い。大学・総合病院などで手術や専門的な治療を受けた患者が、地域の医療機関に移る際のスムーズな連携などに役立っている。

 情報を提供する側の病院が、患者の同意を得て診療・看護記録、各種の検査結果、CT画像などを開示。閲覧を希望する医療機関などがポータルサーバーにアクセスし、情報を得る仕組み。岡山県、県医師会、県病院協会でつくる同協議会が運用に当たり、2013年初めから全県レベルでスタートした。同協議会によると、全県規模でのネットワーク構築・運用は全国でも先進的という。

 急性期病院での患者の治療内容や経過をかかりつけ医が速やかに把握できる点などが好評で、参加施設は当初の300程度から順次増加。今年6月中旬時点で病院・診療所、歯科医、薬局など400を超えている。

 同協議会は介護分野への連携拡大を14年度から本格化。地域の訪問看護ステーションメンバーやケアマネジャーらが医師らと情報を共有し、患者らの在宅サポートに役立てつつある。高梁市では関係者・機関でつくる連携組織「やまぼうし」が昨年秋に本格始動。がん患者の緩和ケアや慢性病患者の体調コントロールに成果を挙げている。

 訪看ステーション「やまびこ」の難波京子管理者は「(患者が)まあまあ眠れたとか、アイスクリームは食べられたとか、あるいはせきがしばらく続くといった細かい情報を交換しながら、必要な時には迅速に医師の指示を求められる」とメリットを話す。同市保険課の倉橋重昭さん(社会福祉士)は「今後、介護施設の参加が増えてほしい。例えばデイサービスに訪れた時の状況などが細かく集まれば、高齢者らをより着実にサポートできる」と期待する。

 同協議会は、ちらしなどを通じて連携拡大のPRに力を入れている。大前進同協議会事務局長は「多職種による情報共有のメリットを広く知ってもらうことが第一。連携拡大により、地域をしっかりと支えていきたい」と話している。問い合わせは医療ネットワーク岡山協議会(岡山市中区古京町、岡山衛生会館内=(電)086―206―3477)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年08月03日 更新)

タグ: 健康介護高齢者福祉

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