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いのちの電話連理事長に堀井氏 相談の全国転送拡大へ

就任の抱負を話す堀井新理事長

 自殺などの悩みにボランティアで24時間応じる「いのちの電話」の全国組織・一般社団法人日本いのちの電話連盟(東京)の新理事長に、堀井茂男・岡山協会理事長が就任した。全国の年間自殺者が依然2万人を超す中、未然に食い止める“セーフティーネット”として活動に寄せられる期待は大きい。抱負を聞いた。

 ―岡山いのちの電話協会(岡山市)など全国42都道府県にある50組織を統括する連盟のトップに、県内から初めて就いた。特に力を入れたい活動は。

 各組織の相談対応の質を底上げするのが連盟の主な役目。相談員の技術向上に向けた研修会、各組織の情報交換会をこれまで以上に充実させたい。

 ―全国の相談員は約6500人で10年間で約500人減り、岡山でも24時間体制になった1994年以降最少の約170人に落ち込んだ。多様化する相談窓口に分散するなどして減り続ける相談員をどう確保するかは大きな悩みだ。

 特に人が寂しさを感じ、深刻な電話が多い夜間にスタッフが手薄なのが実情だ。やりがいを感じられ、自らの考え方にも幅ができるという利点を強調しながら、幅広く協力を呼び掛けていきたい。

 ―時間帯によって相談用の電話がつながりにくいことも、課題の一つになっている。

 自らの組織の回線がふさがっている時に電話がかかってきた場合、夜間を除いて他の組織に自動転送されるシステムを、全国の50組織のうち14組織(岡山を除く)が共同で築いている。この取り組みの輪を広げていきたい。

 ―全国の2014年中の自殺者は約2万5千人。5年連続で減ったとはいえ、依然多くの命が失われている。

 精神医療とは別の角度から、自殺を防ぐ役目を担っているのが、いのちの電話だと自負している。孤独を感じている人たちの「隣人」として話し相手になるとの基本スタンスを今後も貫き、一人でも多くの命を救っていきたい。


 ほりい・しげお 慈圭病院院長。2008年から岡山いのちの電話協会理事長を務め、15年6月から現職。専門は臨床精神医学。岡山大医学部卒。さぬき市出身。68歳。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年08月18日 更新)

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