文字 

蚊、ダニ感染症に注意 県環境保健センター呼び掛け

デング熱を媒介する蚊を採取する調査員=岡山空港周辺

重症熱性血小板減少症候群を媒介するとされるマダニ(岡山県環境保健センター提供)

 感染症に注意が必要な季節がやってきた。昨年は蚊が媒介するデング熱、ダニにかまれて発症する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が国内で確認されている。薄着で外出することが多い時季。岡山県環境保健センターの岸本寿男所長は「疾患の特徴を正しく理解し、早い対応が重要」と強調する。特徴と対策をまとめた。

 ■デング熱■

 昨年の夏、国内で約70年ぶりに患者を確認した。岡山県内で感染したという報告はなかったが、国内の患者数は162人に上った。媒介する「ヒトスジシマカ」は国内ほぼ全域に分布。県は岡山空港、県庁、後楽園、倉敷市美観地区の4カ所で10月末まで生息調査を行っている。

 症状は、38度以上の急な発熱、頭痛や眼痛から全身の倦怠(けんたい)感や骨関節痛などを引き起こし、数日後に真っ赤な皮疹が出るのが特徴。ほとんどは1週間程度で回復するが、まれに重症化するケースもあるという。

 予防策について、県健康推進課は「蚊は日中に活動する。公園などで遊ぶ際は長袖、長ズボンを着た上で、虫よけスプレーを使うなどして蚊に刺されないように」と呼び掛け。発生源となる水がたまりやすい場所の小まめな清掃なども有効としている。

 ■SFTS■

 マダニが媒介するウイルス性感染症で、6日~2週間で発症する。症状は37・5度以上の発熱や嘔吐(おうと)、筋肉痛、意識障害などで、重症化すると死に至る場合がある。

 特に高齢者が感染すると注意が必要で、県内では2013年7月以降に60代と80代の男女計4人が感染。このうち80代女性1人が死亡している。

 岡山県内には、ウイルスを媒介する可能性がある5種類のマダニが年間を通じて広く生息していることが、県の独自調査で分かっている。

 また、マダニが媒介する法定感染症には日本紅斑熱もある。高熱と頭痛などの症状が続き、全身に発疹が広がり、症状が悪化すると意識障害などが生じ、死亡するケースもあるという。

 県内では14年に30~70代の男女計4人が感染。近年、県内で死者はいないが、福山市では2011年、香川県では今年4月に犠牲者が出ている。

 「草むらなどに行く際は肌の露出を控え、マダニを見つけやすい明るい色の服を着るのが望ましい」と岡山県健康推進課。「かまれた場合、無理に引き抜けばストロー状の「口器」の一部が皮膚内に残る可能性もあるため、皮膚科を受診してほしい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年08月19日 更新)

タグ: 健康医療・話題感染症

ページトップへ

ページトップへ