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検体集めバイオバンク稼働 病気解明へ岡山大病院

診療科から届いた検体を確認するバイオバンクのスタッフ

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は、手術や検査で採取したがん組織や血液などを検体として収集する「バイオバンク」を設立し、本格稼働を始めた。検体は患者の同意を得た上で数千点規模を集める計画。学内外の研究者や製薬会社に提供し、岡山大発の治療薬開発や病気の原因究明に役立てる。

 検体収集はこれまで各診療科が独自にするケースが多かったが、バイオバンクが各診療科から提供された検体を一元管理することで、診療科の垣根を越えた活用を図る。病気の概要や治療歴を含む診療情報と併せ、院内で保管する。

 集める検体の詳細は今後詰めるが、手術前後の組織や血液をさまざまながん患者から採取したり、糖尿病などの患者の検査で血漿(けっしょう)を集めたりすることを想定している。一つの疾患について数十人から数百人分の検体を集める予定。

 4月に設立。7月に院内の医師らを対象にした説明会を開き、検体収集を本格化させた。

 専任スタッフは准教授2人をはじめ、患者に概要を説明して同意を得るリサーチコーディネーター、技術スタッフの計7人。学内の研究者とともに、検体を利用して遺伝子解析などを行い、病気の解明や新しい治療法の確立、創薬に努める。学外の研究機関や製薬会社などとの共同研究も視野に入れている。

 岡山大病院は2013年度から、日本発の有望な医薬品と医療機器を創出する取り組みを進める国の事業に指定されており、全国でも有数の臨床実績をバイオバンクの取り組みに生かす。

 プロジェクト責任者を務める豊岡伸一教授(臨床遺伝子医療学・呼吸器外科)は「すぐに結果の出る取り組みではないが、医学の発展には欠かせない。一丸となってやっていきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年08月26日 更新)

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