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高齢者は小まめに結核予防検診を 南岡山医療センター・河田医長に聞く

かわた・のりこ 岡山市立市民病院内科医長などを経て2010年4月から現職。今年4月から診療支援部長を兼務する。専門は呼吸器疾患。岡山大医学部卒。岡山市出身。

 かつて治癒が困難な病気といわれた結核。治療法が確立されているが、いまだに罹患(りかん)の可能性はあり、死に至るケースも見られる。結核予防週間(24~30日)を前に、国立病院機構南岡山医療センター(早島町早島)呼吸器・アレルギー内科の河田典子医長に現状や対処法を聞いた。

 ―結核は現在、治る病気というイメージが強い。

 戦後間もないころまでは治療法が確立しておらず治るのが難しかったが、次々と薬が開発されて罹患率は格段に下がった。だが、国内では今も年間2万人の患者が発生し、2千人が命を落としている。県内では2013年、232人がかかり、19人が亡くなった。死者数は10年間ほとんど変わっておらず、決して過去の病気ではない。

 ―症状の特徴は。

 感染力の強い結核菌が体内で増えて起こる病気であり、たんが絡んだせきが2週間以上続き、倦怠(けんたい)感や微熱といった風邪や気管支炎に似た症状が出る。せきやくしゃみで菌が飛び、空中に漂った菌を他人が吸い込む「空気感染」で広がる。発症すれば少なくとも半年は薬による治療が必要だ。せきなどに含まれる菌が多い患者は、他人に感染させる恐れがあるため入院となる。病気が進行すると、呼吸器不全などで死に至るケースもある。

 ―課題はどこにあるのか。

 患者は圧倒的に高齢者が多い。県内では半数が70歳以上。結核が猛威を振るっていた時代に感染し、菌をそのまま保持して他の病気との併発で発症するケースが多い。高齢者は体力の低下で感染しやすいため、小まめに検診を受けてほしい。医師の側も診療する機会が減った影響で結核と気付かず、対応が遅れるという問題がある。年に1度開いている医療関係者向けの研修会の開催回数を増やすなど対策の拡充に努めたい。

 ―予防や治療上の注意点は。

 日ごろから睡眠をよく取るなど体力を低下させないことが大事だ。治療では服薬を徹底しないと薬に耐性ができて治癒が困難になる。飲み忘れなどは避けてほしい。結核の患者と接触した場合は基本的に保健所から連絡が入り、必要な検査を受けることになる。きちんと治療すれば治る。異変に気付いたら怖がらずに呼吸器科や内科を訪ねてほしい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年09月23日 更新)

タグ: 健康

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