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変形性膝関節症防いで 岡山大病院・古松毅之助教に聞く

変形性膝関節症について話す古松助教

 「ロコモ」という言葉をご存じですか。「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」の略称で、加齢に伴い、筋肉や骨、関節などの運動器が衰え「立つ」「歩く」といった機能の低下をきたす状態を指す。進行すると介護が必要になるリスクが増すが、日常生活を工夫することで進行を抑え、予防もできる。岡山大病院整形外科の古松毅之助教に対処法のポイントを聞いた。10月8日は日本整形外科学会が定める「骨と関節の日」。

 ―高齢化が進む中、ロコモへの関心も高まっている。中でも膝関節の痛みに悩む人は多い。

 ロコモは日本整形外科学会が2007年に提唱した概念。介護を必要とせずに、日常生活を送れる「健康寿命」の延長を目指している。学会は市民向けにパンフレットやホームページを作成し、意識啓発を図っている。

 運動器症候群の一つで膝が痛む「変形性膝(しつ)関節症」は高齢女性に多く、進行すると日常生活が困難になることもある。08年の調査では50歳以上で自覚症状のある患者は820万人、単純エックス線で異常が認められる“予備軍”は2400万人に上ると推計される。

 ―変形性膝関節症の原因や特徴は。

 多くは原因不明だが、加齢によってクッションの役割を果たす膝の軟骨や半月板が摩耗してしまい、骨同士がこすれ合って痛みや腫れが出るようになる。膝が変形し「O脚」になることもある。立ち上がる時や歩き始める時に痛むのが特徴で、就寝中などは痛みがない。

 ―どのような治療をするのか。

 望ましいのは初期の受診。早期に治療を始められれば、ヒアルロン酸の関節内注射も効果が期待できる。変形が強くなってしまうと、人工関節に置き換える外科手術が必要になる。

 いずれにしても、大切なのは日常生活の改善と運動療法の継続。日々の心掛け次第で進行を遅らせたり、手術後の回復にも差が出てくる。例えば、膝に負担を掛けないよう正座をやめていすに座る、ベッドで寝る、洋式トイレを使うことを勧めたい。減量や体形の維持も欠かせない。椅子に腰掛けて脚を曲げ伸ばしするなど、太ももの筋力トレーニングを毎日続けてほしい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年09月29日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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