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被ばく防止へ手術支援ロボ開発 岡山大、2~3年後実用化目標

試作機の動きを確認するためアームをCT内部に伸ばす平木講師

 岡山大医学部、工学部などの研究グループが、放射線を出すCT(コンピューター断層撮影装置)を使いながら、その場で患者を治療する医師の被ばくを避けるため、遠隔操作で治療できる支援ロボットの開発を進めている。今春、試作機が完成。2~3年後の実用化を目指しており、実現すれば国内初となるという。

 CT画像で患部の位置や状態を確認しながら、体内に針を刺してがんを焼き切ったり、凍らせたりするIVR(画像ガイド下治療)向けのロボット。IVRは、開腹手術と比べて体への負担が少なく、肝臓や腎臓、肺など全身のがんに有効とされるが、医師は、患者が横たわる筒状のCT装置の脇で治療に当たる必要があり、度重なる被ばくを避けることが課題だった。

 ロボットは、動力を内蔵する箱形の本体(高さ約1メートル)から伸びる長さ約30センチのアームが特徴。六つの関節を持ち、CT装置内部の直径70センチほどの狭い空間でも針の位置の微調整が可能。医師は、特殊ガラス板越しに手元のコントローラーで操作でき、被ばく線量をゼロに抑えられるという。

 学内での医療と工学分野の「医工連携」、県内の機械メーカーとの連携を図りつつ2012年に開発に着手。現在は人体模型を使って試作機の動作を確認している。小型化、動きの精度の向上を進めて16年度に臨床試験を始め、国の製造承認へつなげたい考え。

 研究責任者の岡山大病院放射線科の平木隆夫講師は「ロボットの活用により、医師の被ばく防止だけでなく、手術での手ぶれのない正確な動きが見込める。医療機器に欠かせない安全性、信頼性を臨床試験で確認し、実用化させたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年10月05日 更新)

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