文字 
  • ホーム
  • 岡山のニュース
  • 「特例子会社」で障害者雇用促進 岡山県内企業が試み  法定率達成狙う 業務範囲拡大へ

「特例子会社」で障害者雇用促進 岡山県内企業が試み  法定率達成狙う 業務範囲拡大へ

手紙類を仕分けするベネッセビジネスメイトの従業員=岡山市南方

 岡山県内の企業で、「特例子会社」を生かし、障害者の雇用拡大を図る動きが出ている。特例子会社の実績はグループ全体での雇用とみなすことができるため、障害者の法定雇用率(民間企業で1・8%)達成が狙い。地場ではまだ少数派だが、業務範囲も拡大させている。九月は「障害者雇用支援月間」。

 ベネッセコーポレーション(岡山市南方)は四月、特例子会社「ベネッセビジネスメイト」(東京都多摩市)の岡山事業所を本社内に開設した。昨年四月に業務開始した東京本部(同)に次ぐ拠点。手紙類の仕分けや清掃業務などを委託しており、岡山では八人の障害者が働く。

 「グループの中には、障害者の働く場を設けるのが難しい職場もある」とベネッセコーポレーション。二〇〇六年五月末のグループ雇用率1・58%を二年後に2%以上とする目標を掲げる。今後は障害者の業務範囲を他の関連施設に広げるなど、雇用を進めていく。

 二年前に特例子会社「グロップサンセリテ」(岡山市中尾)を設立した人材派遣のグロップ(同市〓東町)は、当初五人だった障害者を年約十人ずつ採用し、現在は二十五人程度になった。

 ただ、グロップは「社業拡大でグループの常勤労働者数が増えているため、まだ法定雇用率は達成できていない」。受け皿の拡大に向け、従来のダイレクトメールの封入や清掃などに加え、来年春までにはリサイクル向けの紙の分別収集作業も委託業務に加える。

 JFEスチール(東京)も二年前、特例子会社の事業所を西日本製鉄所倉敷地区(倉敷市水島川崎通)に開設。十一月にも従業員が安全確保のため所持しているガス検知器の検査を、委託業務に追加する。福山地区(福山市鋼管町)と合わせた雇用率は2・24%に上るが、「十三人いる倉敷地区での人員はさらに増やす予定」とする。

 岡山労働局によると、障害者の法定雇用は従業員五十六人以上の企業に原則義務付けている。未達成の企業には指導があり、企業名が公表される場合もある。

 〇五年の県内企業の障害者雇用率は1・68%(前年比0・05ポイントアップ)で十年ぶりのプラスとなったが、法定雇用率には達しておらず、対象企業九百八十社のうち47・8%が未達成だった。

 同局は「特例子会社の活用は、グループを形成する企業にとって障害者雇用を進める有効な一つの手法。障害者の職域分野拡大に努め、雇用率アップにつなげてほしい」と呼び掛けている。

ズーム

 特例子会社 障害者雇用促進法に基づく制度。障害者を5人以上雇用するなどの要件がある。身体障害者、知的障害者に加え、今年4月には精神障害者も対象となった。親会社への雇用算入しかできなかったが、2002年にグループ全体への適用が認められて設立する企業が増え、全国で197社(8月末時点)。親会社が岡山県内に本社を置くのは、ベネッセビジネスメイトとグロップサンセリテのみ。

(注)〓はのぎへんに最
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年09月16日 更新)

タグ: 福祉

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ