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御津医師会と8病院が連携 在宅医療の不安解消へ

これまでの運用状況を話し合う医師ら=14日、岡山医療センター

 岡山市北部や西部の開業医らでつくる御津医師会と近隣の8病院が連携し、在宅患者の症状が悪化した際に適切な入院先を素早く確保する取り組みを今春から進めている。いざというときの患者や家族の不安解消を図り、在宅医療の普及につなげる狙い。

 同医師会によると、急速に進む高齢化を背景に国が推進する在宅医療を支えるため、医師会と複数の病院が組織的に連携するのは岡山県内で初めて。全国でも珍しいという。

 8病院は、国立病院機構岡山医療センター(同市北区田益)、岡山中央病院(同伊島北町)、市立金川病院(同御津金川)、福渡病院(同建部町福渡)、済生会吉備病院(同高松原古才)、光生病院(同厚生町)、岡山紀念病院(同清輝本町)、同仁病院(同下伊福上町)。

 御津医師会の地域連携担当スタッフが岡山医療センターの地域連携室に常駐。がんや脳卒中などで在宅療養する高齢者らに急な発熱、脱水症状、食欲不振などが表れて入院が必要になり、同医師会の開業医らから電話を受けると、患者の症状、治療内容、各病院のベッドの空きなどを勘案し15分以内をめどに搬送先を決める。

 在宅療養の患者は、長期化する恐れがあるといった理由で入院を断られるケースが少なくなかった。医師会と病院の組織的な連携により、開業医は入院先を探す労力を軽減でき、病院側は急性期治療、慢性期のリハビリなど各施設の機能に見合った患者を受け入れやすくなるという。御津医師会は一部の開業医と病院がこれまでも連携しており、取り組みを拡充した。

 4月のシステム導入から9月末までに92人が運用対象となった。内訳は開業医からの搬送依頼が71人、病院同士の入院・転院依頼が21人。病院の医師の判断を経て実際に入院したのは74人で、うち39人は退院して在宅療養している。

 新たなシステムについて、市立金川病院の大森信彦院長は「患者の入転院について病院間でも相談しやすくなった」と意義を説明。岡山医療センターの佐藤利雄院長は「“地域完結型”の医療の定着のために役立てたい」と抱負を話す。

 御津医師会地域連携室長の森脇和久医師は「協力してくれる病院をさらに増やし、お年寄りが安心して自宅で療養できる環境を充実させたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年10月17日 更新)

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