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ともに歩む医療を目指して

院長
武田 俊彦
岡山大大学院医学研究科(神経精神医学)修了後、神戸西市民病院勤務など経て1993年に慈圭病院に移り、2019年4月から現職。

 精神科は、“こころ”という形に見えないものの病や傷を対象としています。もちろん、現代ではこころが脳神経の複雑な働きによって生み出されたものという考え方が主流です。そして精神医学の進歩によって、脳神経にその病による変化が見つかっている場合も少なくありません。したがって精神科での治療は、こころと脳神経の両方に働きかける必要があります。それぞれの精神科の病気には、内科や外科同様に標準的な治療が定められていますが、事例ごとにそれぞれ多様なバリエーションがあり、治療もそのバリエーションにあわせて柔軟に組み立てなければならないのが精神科治療の特徴です。病気の種類や程度によっては、たくさんの専門職による多様な療法が必要になります。そのために、慈圭病院では専門職の陣容において県内トップクラスの体制で固め、チームを組んで治療にあたります。

 では、治療のゴールはどこでしょうか。このゴールとしてはリカバリー(回復)の考え方が重要です。リカバリーとは、自らの生活を主体的に営んでいけると実感できる状態です。その生活では、社会に所属しているという確かな感覚があって、さらに自分の将来に希望が持てることが重要です。満足感や自尊心、勇気が自然とわきおこる状態でなければなりません。このようなリカバリーを目標に治療を進めるためには、当事者の皆さまの治療への積極的な参加が是非とも必要です。私たちは、当事者の皆さまとともに歩む医療を目指しています。そのためには、担当するスタッフも良き医療人であると同時に、良き人間であって欲しいと考えています。かねてより慈圭病院は、医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士など多くの医療専門職の研修を積極的に受け入れてきました。それは、人を育てることが自らを律し、育てることに繋がるからです。

 慈圭病院は、1952年に開院しました。当院は開設当初から、民間でありながら個人病院ではなく、営利を目的としない財団法人として運営されています。それは現在も公益財団法人として受け継がれています。私たち慈圭病院の職員は、精神医療を通してこのような公共の利益に役立つ仕事に携われることを誇りに感じています。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年04月12日 更新)

タグ: 慈圭病院

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