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肺がんの薬物治療

内科部長
瀧川 奈義夫
1988年岡山大医学部卒、92年、同大学院博士課程修了。国立療養所山陽荘病院(現山口宇部医療センター)、四国がんセンター(松山市)などに勤務後、米国クリーブランドクリニックがんセンターに2年間留学。岡山大病院呼吸器・アレルギー内科助教などを経て2011年4月から内科部長。

 肺がんの治療法は、初期がんである1期や2期の場合は手術が基本、3期の場合は手術、放射線、化学療法、4期は化学療法と分子標的治療を用います。

 このうち化学療法は、抗がん剤を使った治療で、1984年に使われ始めたシスプラチンと新しい薬を組み合わせるのが、標準的です。これまでは点滴に長時間かかったり、腎障害や吐き気などの問題がありましたが、最近はいい吐き気止めが出たり、時間も短縮されています。

 分子標的薬は、がんの分子が持っている異常なタンパクに対して、直接やっつけるような薬で、がん細胞を“狙い撃ち”するイメージです。正常細胞にダメージを与える抗がん剤に比べ、副作用が少ないとされています。がん細胞の膜にある「EGFR」というタンパクに結合し、増殖や転移を抑え込んだり、がんに栄養を送る血管新生を阻害する作用があります。

 ただ、100人のうち5、6人に副作用として間質性肺炎を発症することがあります。さらに1、2人は亡くなることもあって、注意を要します。


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※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年08月29日 更新)

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