小児の急患 岡山県北で対応 県・救急研修事業スタート 内科医ら20人参加
県によると、小児科医は県内に約二百五十人いるが、岡山、倉敷市で八割の約二百人を占め、県北の市町村には津山市を除き一、二人、または一人もいないのが現状。
こうした実態を踏まえ、県が本年度から三年間の研修事業を計画。各地の医師会を通じて研修希望の内科医などを募っていた。研修の受け入れ病院として、国立病院機構岡山医療センター、岡山赤十字病院(岡山市)、倉敷中央病院、川崎医科大付属病院(倉敷市)、津山中央病院(津山市)の協力を得た。
十七、十八日に川崎医科大付属病院でスタートした研修には医師六人が参加。乳児健診や投薬の際の注意点、誤って異物を飲み込んだり、けいれんややけどをした場合の処置などについて、専門の小児科医から説明を受けた。
講師の一人、倉敷中央病院の渡部晋一小児科部長は「昨年一年間で一万九千人の小児救急患者を受け入れたが、片道二時間かけて来院する人も多い。地域の先生が少しでも患者を受け入れてくれれば、患者のメリットは大きい」と話す。
研修を受けた新見市の松尾豊医師は「新見市内に専門の小児科医は一人だけ。今後、小児救急に対する市民の要望に少しでも応えていきたい」と話していた。
十月には問診や診察、検査について、五つの病院で臨床実習が行われ、以後順次、開業医らが小児急患の診察を開始。重症時には大規模病院に救急搬送に応じてもらう。
県施設指導課は「小児救急は軽症が九割を占め、小児特有の症状を理解すれば、専門医でなくても診療が可能。診断に迷ったり、重症の場合は、専門の医師に紹介する効率的な小児救急体制を築きたい」としており、来年度以降も新たに研修希望の医師を募る。
(2006年09月26日 更新)