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岡山大研究班 遺伝子治療でがん抑制  血管新生阻む マウス実験成功

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の広畑聡助手(分子医化学)らの研究グループは二十六日までに、がん細胞による新たな血管の発生を防ぎ、がんの増殖を食い止める遺伝子治療にマウスで成功。生物学分野の米学術誌に発表した。

 研究グループは、がん細胞が血管を新たに作り、そこから栄養分を受け取ることで増殖する仕組みに着目。血管を取り巻く内皮細胞外側にある「基底膜」の成分中に、血管の新生を阻む効果があることを突き止めた。

 この成分を、がん細胞にだけ働く特定の遺伝子や、運び役のアデノウイルスと組み合わせ、ヒトの前立腺がん細胞を移植したマウスに週一回、一カ月間注射した。その結果、注射しなかったマウスはがんの体積が約十倍に膨らんだのに対して、注射したマウスは約三倍にまで抑えられた。

 血管新生を阻む抗がん剤はあるが、臨床試験の段階という。研究グループは「この遺伝子治療での完治は難しいが、治療法の選択肢が広がる。肺や肝臓など多くのがんでも効果が期待でき、注射薬の濃度を高めれば縮小も考えられる」と話している。


画期的アイデア

 遺伝子治療に詳しい大阪府立成人病センターの高橋克仁部長の話 がん細胞を標的に、血管新生を阻害する手法は画期的なアイデア。別のウイルスを使えば投与の効き目が長続きし、臨床応用で期待が持てる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年09月27日 更新)

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