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がん免疫療法 血液で効果測定 岡山大などグループが技術開発

二見淳一郎准教授

 岡山大大学院の二見淳一郎准教授(タンパク質工学)、川崎医療福祉大(倉敷市松島)などの共同研究グループは、体内の免疫の働きを利用してがんを治療する免疫療法の効果を血液1滴で測定する技術を開発した。がん免疫療法の新しい治療薬や診断薬の開発などに応用できる成果と期待される。

 研究グループは、がん細胞が免疫の働きで死滅すると、血液内で「がん抗原タンパク質」に対する抗体の濃度が上昇することに着目。品質が良く、多様な抗原タンパク質を大量に作り出し、血液による測定技術の基盤を確立した。200種類以上存在するとされる抗原タンパク質のうち、約70種類を作り出したという。

 抗原タンパク質は水に溶けにくい性質があるが、電荷を帯びさせる技術を用いて解決した。技術は二見准教授らが研究、開発した。

 さらに、市販されている特殊な粒子(磁気ビーズ)の表面に抗原タンパク質を固定し、血液検査で使える診断薬にする方法を研究。専用の医療機器を使い、希釈した血液中の抗体量を簡易に測定できる仕組みを編み出した。

 成果は9月上旬、米国の化学誌に掲載された。患者一人一人のがんの特性や薬との相性などを考慮して治療法を選ぶオーダーメード医療の拡大に貢献できる成果といい、二見准教授は「検査に有効な抗原タンパク質を見極め、岡山大病院などとも連携しながら、早期の実用化につなげたい」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年10月24日 更新)

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