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妊婦さん、子育て中のママへ 治療法や日常生活での注意点解説

瀧上隆夫院長

「いぼ痔」ってなぁに? ~外痔核~編

 ヒトのおしりは四足動物と違って心臓より低い位置にあるので、うっ血しやすくなっています。お尻のうっ血が原因で血管の一部がふくれ上がる痔核は、ヒト特有の疾患ともいえます。直立歩行を始めた人類の宿命ともいえる病気なのです。

 痔核は誰にでもあり肛門を閉じるときのクッションの役割をしていると考えられています。ところがこれを支えている組織が弱くなると、クッション部分が大きくなって「病気」の仲間入りをするというわけです。そうヒトはみんな痔主なのです。

 直腸(粘膜)と肛門(皮膚)の境目を歯状線といいます。その歯状線の外側にできる痔核が外痔核、このうち肛門皮膚下に血豆ができるものを血栓性外痔核と呼びます。

 外痔核はそれまで肛門が腫れたことのない人が「ある日下痢や便秘を繰り返したあとに突然肛門の周りに固いしこりができて痛くてたまらない」というのが典型的です。小さなものでは軽い痛みだけですが、大きなものになると肛門の半周がしこりとなり椅子に座るのも大変です。さらに放置すると破裂して下着が真っ赤になるような出血をすることもあります。

【外痔核の治療】

~軽症の外痔核の場合~
 ほとんど痛みもなく肛門周辺のしこりだけが症状の時は、手術はまず必要ありません。日常生活に注意をして座薬や軟膏(こう)を塗っていれば徐々に腫れが引いてきます。

~中等症の外痔核の場合~
 しこりがあってもあまり痛みがなく出血などの症状が乏しい時は、まずは軽症と同じような治療をしてみます。数日たっても腫れや痛みがなかなか引かない時は局所麻酔でしこりの頂部を切開し、なかの血栓だけを取り除きます。日帰り手術で充分です。

~重症の外痔核の場合~
 しこりが非常に大きい時、痛みが非常に強い時は手術が必要です。大きな外痔核が吸収されるのは時間がかかりますし局所麻酔だけで血栓だけを取る方法では術後の肛門周囲の皮膚がたわんで耳たぶのようになり病気が治っても肛門周囲が不潔になりやすく、余病を招く恐れがあるからです。

 「こんなことなら」もっと早く病院に来ればよかった…」とおっしゃる患者さんが多いのは事実。もっと皆さんお尻に愛情を注いであげて下さい。最近、自分のお尻は元気がないな~と感じたらぜひ肛門科の門をたたいてみて下さい。お待ちしております。(チクバ外科・胃腸科・肛門科病院 瀧上隆夫院長)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年10月26日 更新)

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