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超低体重児の心臓手術成功 岡山大病院、経過も順調

退院を控え、病室で母親に抱かれる女児=30日午前10時58分、岡山大病院

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は30日、体重895グラムの超低体重児として3月に生まれ、先天性の重い心臓病「ファロー四徴症」を患う岡山県内の女児に対し、生後3週間から段階的に行った手術が成功したと発表した。経過は順調で近く退院する見通し。

 ファロー四徴症は肺動脈が狭く血流などが悪くなる病気。同病院は、体重1キロ以下の子どもに対する手術の成功は世界でも例がないとしている。

 女児は妊娠31週で生まれ、重度の低酸素血症(チアノーゼ)を起こしていた。病院は出生から3週間後、直径3ミリの人工血管をさらに細い肺動脈につなぐ難手術を実施。さらに体重の増加を待ち9月下旬、左右の心室の間に空いた穴をふさぐなどの手術を成功させた。

 同病院によると、新生児の心臓手術は通常、体重2・5キロ以上が対象で、1キロ以下の超低体重児の手術は極めて難しく、死亡率が高い。最初の手術時の女児の体重は、生まれた時と同じで1キロ以下だったという。

 執刀した心臓血管外科の佐野俊二教授は同日の会見で「今は順調に回復している。どんなに低体重で疾患がある子どもでも、手術で治ると患者たちに希望を持ってほしい」と述べた。

 病室で取材に応じた女児の母親(30)は「妊娠中から病気が分かっていた。小さく産まれてしまい、心配した」と振り返り、父親(28)は「手術はうまくいくと信じていた。愛情いっぱいに育てたい」と喜んだ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年10月30日 更新)

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