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前立腺がん手術 安全に 岡山大大学院・雑賀講師が新手法 開腹、腹腔鏡組み合わせ 患者負担も軽減

雑賀隆史講師

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の雑賀隆史講師(泌尿器科)は、前立腺がん手術で、開腹と腹腔(ふくくう)鏡を組み合わせた新しい手法を開発した。腹腔鏡手術による医療事故が問題となる中、手術の安全性と患者の負担軽減を両立させた。5日、大阪市で開かれた日本泌尿器内視鏡外科学会で発表した。

 前立腺がん治療は、早期の場合は全摘手術が一般的。開腹手術は、視野が広いためやりやすく時間も短い一方、出血量が多く患者の負担は大きい。腹部に開けた数カ所の穴から内視鏡や器具を挿入して行う腹腔鏡手術は、出血が少なく回復は早いが、モニターを見ながら器具を操作するため、技術的に難しい。

 新手法は、下腹部に四カ所穴を開け、内視鏡で前立腺と尿道括約筋を切り離した後、術式を開腹に移行。下腹部を幅五センチほど切開し、内視鏡では難しいぼうこうとのはく離、尿道の縫合などを行う。

 四月から十一例実施。開腹手術と比べかかった時間はほぼ同じで、出血量は平均で約三割少なかった。

 東京都の東京慈恵会医大青戸病院で二〇〇二年、経験の浅い医師が前立腺がんの腹腔鏡手術に失敗し患者を死亡させた事故を受け、新たな手法の開発を進めていた。

 雑賀講師は「これまでは一つの術式にこだわる傾向が強かった。新手法は比較的、習得が容易で、広めていきたい」と話している。


患者に朗報

 日本泌尿器内視鏡外科学会・平尾佳彦理事長(奈良県立医科大教授)の話 二種類の手術の利点を組み合わせた画期的な手法で、患者にとって朗報だ。今後普及していくだろう。


ズーム

 前立腺がん ぼうこうの下にあるクルミ大の男性特有の臓器「前立腺」にできたがん。高齢者に多いのが特徴で、進行すると頻尿や排尿困難、出血などを生じるほか、リンパ節や骨に転移しやすい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年10月06日 更新)

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