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市町村の乳がん検診 岡山県の指針 導入進まず マンモグラフィー 40歳以上、毎年実施 3分の1が未達成

 市町村が行う乳がん検診で、岡山県内29市町村のうち3分の1の10市町が、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)検診を隔年としたり、年齢に上限を設けるなど、県の指針と異なることが、県などの調べで分かった。専門家は「住民の健康にかかわる重大な問題なのに、がんの危険性を理解していないところが多い」と警鐘を鳴らしている。

 県は二〇〇四年、乳がんの発見率を上げるため全国で唯一の独自指針を定めた。「三十歳以上は視触診単独、四十歳以上でマンモグラフィーを併用し、いずれも毎年実施」というもので、「視触診とマンモグラフィー併用検診を四十歳から隔年実施」とする国の指針より手厚い内容になっている。

 県などの調査によると岡山、津山、井原、総社、浅口市、瀬戸、和気、早島町の八市町がマンモグラフィーを隔年実施。マンモグラフィーを受けられる年齢は、国、県の指針は上限を定めていないが、岡山、津山、玉野、笠岡市は六十代半ばまでと設定。岡山市は開始年齢を四十歳ではなく五十歳に引き上げている。

 県指針を採用しない理由について、多くの市町は「国の指針に従っている」と説明。六十代半ばまでという制限については「女性のがん死の部位別順位が、六十五歳を過ぎると、乳がんは一位から四位に下がるから」とする。

 しかし県指針を立案した県医師会の前専務理事・岡崎邦泰医師(72)は「初期のがんを見逃せば、がん細胞は一年間で倍の大きさになり、治癒率がぐんと低くなる。毎年検診し、発見の可能性を高める必要がある」と指摘。六十代で乳がん死の順位が下がる点については「加齢とともに他のがんのリスクが高くなり順位が下がるだけで、乳がんのリスクが低くなるわけではない」と説明する。

 検診の費用は、一九九八年度に国の補助がなくなり、自己負担分以外は市町村が持つ。検診の機会を減らしている背景には、岡山市が「マンモグラフィーの開始年齢を十歳引き下げ四十歳にすると約六百万円の予算がかさむ」と言うように、財政への影響もあるようだ。

 県健康対策課は「数年のうちに県指針が国よりも有効であることが、がん発見率の実績に表れるはず。県指針に従っていないところは早期に導入してほしい」と要望している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年10月15日 更新)

タグ: がん健康女性医療・話題

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