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認知症の発症を遅らせよう

主任診療部長
渡辺 明良
1978年新潟大医学部を卒業後、長野赤十字病院、同大脳研究所、川崎医科大脳神経外科講師などを経て、2001年から笠岡第一病院脳神経外科診療部長。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本頭痛学科専門医・指導医。

図1

図2

図3

図4

10年後、65歳以上の5人に1人が認知症 !

 最近、新聞・テレビなどで認知症に関する話題が多く取り上げられています。認知症患者は年々増加し、多くの方の関心事となっています。認知症は歳をとると共に有病率が高くなるため、地域社会の高齢化が進むにつれ認知症患者も増加してくるのです。

 ある研究によると、図1のグラフに示されている通り、加齢と共に有病率が増加していることが分かります。また、核家族化のために高齢者だけの二人暮らしや一人暮らしの世帯が増えていることも要因のようです。なぜかというと、昔は、子どもや孫と一つ屋根の下に生活し、おじいさん、おばあさんが出来なくなったことを子どもや孫がカバーしていたため、日常・社会生活で困るような事象が生じにくかったからです。そうです、認知症というのは、ただの物忘れではなく、日常生活や社会生活に支障を来すようになった状態を指すのです。

 図2を見ると、65歳以上の認知症の方の割合が、年々増加していることが分かります。厚生労働省によると、2012年では全国に460万人いるとされていた認知症患者が、2025年には700万人を突破し65歳以上の5人に1人が認知症になると推計されています。
(図1、2:認知症ハンドブック(医学書院)を参照)

最近注目のレビー小体型認知症

 認知症には、いくつかのタイプがあり、最も多いのがアルツハイマー型認知症です。そして、脳血管性認知症、レビー小体型認知症が続きますが、最近は、レビー小体型認知症が増加しているようです。

 レビー小体型認知症の概念は、日本人の研究者が1980年に提唱したレビー小体病やびまん性レビー小体病を基盤としています。認められる症状には、認知機能の著明な変動、幻覚、パーキンソン症状などがあります。幻覚は、幻視が多く、人や動物が実際にそこにいるかのように見える具体的で生々しいものです。アルツハイマー型認知症の場合、側頭葉の海馬と言う部分の萎縮が特徴的ですが、レビー小体型認知症の場合は、海馬の軽度の萎縮は生じますが、脳幹の変化が先行し、次第に大脳へと病変が広がってゆきます。

 当院では認知症の鑑別診断のためにMRI検査を行い、VSRADというコンピュータ画像解析ソフトを補助診断法として活用しています。

 同程度の認知症の方のVSRAD画像を図3に示します。図3‐1はアルツハイマー型認知症の方で萎縮の強い部分が赤く表示され、そこがちょうど海馬に相当します。一方図3‐2の画像はレビー小体型認知症が疑われた症例で、海馬の部分は赤くはなく萎縮が軽度であることが分かります。

 ちなみに、レビー小体型認知症の患者さんは、幻視が特徴的なので、墨で汚したような絵を見ていただくテスト(ノイズパレイドリア・テスト)をしてみると、図4‐1の絵の中に顔が見えると答えたり、 図4‐2の絵の中にある顔に気がつかなかったりすることがあります。こういった症状は、アルツハイマー型認知症で用いられているドネペジルという薬で改善することが知られるようになりました。

自分で出来る認知症予防

 脳ドック受診後に「脳はやせていませんか」「認知症は始まっていますか」等とお尋ねになる方がいらっしゃいます。今後は認知症のスクリーニング検査として、VSRADの検査を含めた脳ドックをオプションとして加えることを検討しています。脳ドックについての詳細は、下記連絡先にお問合せください。

【料金】 21,600円~
【実施日】 月・水・木・金曜日の午前中
【問い合わせ・予約】笠岡第一病院附属診療所 健康管理センター(電話0865-62-6900)

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※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年11月23日 更新)

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