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頭蓋骨手術用インプラントを開発 帝人ナカシマメディカル 2月販売

共同開発した頭蓋骨用インプラント(グレーの部分)。3Dプリンターで製造する

 医療機器メーカーの帝人ナカシマメディカル(岡山市東区上道北方)は、同業のHOYA Technosurgical(ホヤテクノサージカル、東京)と共同で、頭部手術で頭蓋骨の切除部をカバーするインプラントを開発した。金属積層造形装置(3Dプリンター)を活用することで個々の患者に合った形に加工でき、既存のセラミック製よりも軽量で破損しにくいのが特長。来年2月をめどに国内医療機関向けに販売する。

 頭蓋骨用インプラントは交通事故によるけがや脳出血などの処置後、切除部にかぶせてネジで固定する。帝人ナカシマによると、既存のセラミック製はCT(コンピューター断層撮影)画像で患者のサイズに合わせやすい半面、衝撃に弱く、薄い曲面には使いにくい。一方、既存のチタン合金製は薄い板を工具でたたいて形を整える工法のため、強度に優れるものの複雑な成形が難しかったという。

 共同開発したチタン合金製は、医療機関から送られたCT画像を3Dプリンターに入力し、粉末状の合金に電子ビームを照射して成形する。高精度で複雑な形状に対応し、厚さも約1ミリと、セラミック製の約4分の1で済むため軽くなる。

 帝人ナカシマが人工関節で培った3Dプリンターによる製造技術と、セラミック製の頭蓋骨用インプラントで国内トップのホヤテクノが持つノウハウを融合して開発した。10月、実用化に必要な国の薬事承認を取得。帝人ナカシマが本社工場で製造し、年200件の受注(売り上げ数千万円)を目指す。

 帝人ナカシマの石坂春彦取締役開発部長は「3Dプリンターを使ったチタン合金製頭蓋骨用インプラントは国内初。実績を積み上げ、患者のQOL(生活の質)向上に貢献したい」と話している。

 同社は、船舶用プロペラ最大手・ナカシマプロペラ(岡山市)の関連会社ナカシマメディカルを母体に4月、化学・合成繊維大手の帝人(大阪市)の出資を受けて発足。資本金1億円、従業員約180人、ナカシマメディカル時代の売上高は29億1千万円(2014年11月期)。ホヤテクノは光学メーカー・HOYA(東証1部、東京)の子会社。資本金1億5万円、従業員約250人。

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年11月25日 更新)

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