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「泌尿器系手術の技術普及を」 日本泌尿器内視鏡学会の寺地理事長

日本泌尿器内視鏡学会の理事長を務める寺地敏郎さん

 「泌尿器系の手術は大部分が内視鏡か腹腔(ふくくう)鏡。新しい機器や術式が次々と出てくるので、技術の普及と安全性の担保をしっかりとやらなければ」

 井原市出身で東海大医学部教授の寺地敏郎さん(63)=神奈川県小田原市=は2012年11月から、約3900人の医師が所属する日本泌尿器内視鏡学会の理事長を務める。

 国内で支援ロボットによる前立腺がんの全摘出手術が行われた06年以降、ロボット手術の比率は年々高まる。繊細な動きが可能で患者や医師の負担も少ないが、コスト面が課題だ。

 「(腎臓がんの)腎部分切除は、先進医療として厚生労働省の先進医療会議を経て、中央社会保険医療協議会(中医協)の保険適用判定を待っている段階。その実現と、手術を安全に行う環境の整備が理事長としての役割」と話す。

 泌尿器分野では腹腔鏡手術の第一人者だ。倉敷中央病院にいた1984年には導入されたばかりの経皮的腎砕石術(PNL)を始めた。京都大助教授当時の1999年には、日本初となった前立腺がんの全摘出手術を手掛けた。海外を含め医師の指導に当たり、技術の普及に努めた功績も大きい。

 両親がいる井原には多忙の合間を縫って帰省するという。「幼少期とは随分変わったが、実家近くの小田川沿いの風景は同じ。なくなった井笠鉄道の代わりではないが、井原鉄道が走っていることにもホッとしている」

 趣味はランニング。55歳の時に初挑戦したホノルルマラソンは4時間を切る好タイムをマークした。「倉敷にいたころは吉備路マラソンにも出場したことがある」と言い、今も健康維持のための日課としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年12月04日 更新)

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