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ストレスチェック概要と注意点は 岡山産業保健支援センター山本副所長に聞く

「ストレスチェックを契機に、働く人が能力を発揮できる職場の実現を」と呼び掛ける山本副所長

 働く人の心の健康診断といわれる「ストレスチェック」が今月から、従業員50人以上の企業や団体に義務付けられた。岡山労働局によると、岡山県内で対象となるのは約1800事業所に上り、来年11月末までに1回目を実施しなければならない。事業所向けにストレスチェックの研修会を開く岡山産業保健総合支援センター(岡山市北区下石井)の山本正晴副所長(56)に制度の概要や運用の注意点を聞いた。

 ―制度の仕組みは。

 昨年改正された労働安全衛生法に基づく制度で、事業者は年1回、チェックの機会を設ける必要がある。対象は主に正規社員・職員で、1年以上の契約社員らも含む。チェックの実施や判定は事業者が依頼した医師、保健師らが行う。質問票のチェック項目は医師らの助言を踏まえ、事業者が決める。厚生労働省は質問票の推奨例を示している。

 ―制度ができた背景は。

 厚労省によると、2014年度に仕事が原因で精神疾患にかかり労災申請した労働者は1456人で過去最多となった。働く人の精神的な不調を未然に防ぐことが最大の狙いだ。

 ―検査結果はどうなるのか。

 ストレスチェックを実施した医師、保健師らが本人に直接連絡する。高ストレスと判定された人は医師の面接指導を受けることもでき、事業者は医師の意見を聞き、勤務時間の短縮などの措置を講じる。

 ―結果はプライバシーに関わる情報だ。

 医師や保健師らには守秘義務が課される。事業者も本人の同意なしに結果を教えるよう医師らに迫ったり、結果を理由とする異動や解雇など「不利益な取り扱い」をしたりすることは禁止されている。プライバシーには十分配慮してほしい。

 ―結果をどう生かすかも大切だ。

 改正法は、部や課など10人以上の部門ごとの「集団分析」も事業者の努力義務と定めており、職場環境の改善に活用することが何よりも求められる。

 ―事業者としてどう取り組むべきか。

 長時間労働の是正やワークライフバランス(仕事と生活の両立)の推進は急務だ。ストレスチェック導入を契機に、働く人が能力を発揮できる職場を実現してほしい。労働者のストレス改善は企業などの生産性向上にもつながる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年12月06日 更新)

タグ: 健康精神疾患

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