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がんウイルス治療実用化へ 岡山大発ベンチャー企業 米で臨床試験開始

 岡山大発ベンチャー企業のオンコリスバイオファーマ(東京都港区、浦田泰生社長)は一日までに、同大病院遺伝子・細胞治療センター(岡山市鹿田町)の藤原俊義助教授らのグループが開発した、がん細胞だけを死滅させるウイルスを使った臨床試験を米国で始めた。実用化を目指し、安全性の検証などを行っていく。

 開発したウイルスは「テロメライシン」。アデノウイルス(風邪ウイルスの一種)と、細胞ががん化したときだけ活性化する遺伝子テロメラーゼの一部を結合した。ヒトのがん細胞に注入すると、一日で十万~百万倍に増殖し、がん細胞を破壊する。

 試験管レベルの実験では、肺、胃がんに加え、決定的な治療薬がないとされる中皮腫のがん細胞縮小に成功している。

 臨床試験は米食品医薬品局(FDA)から認可を受け実施。一例目はテキサス州ダラスの病院で、進行性の乳がん患者に投与した。発熱や下痢といった副作用、がん細胞の縮小などを調べる。計二十四人に対し投与量を変えながら行い、二〇〇七年末までに終える予定。

 藤原助教授は「抗がん剤に比べ少量で高い効果が見込める上、副作用も軽いとみられる。世界的にも実用化には至っておらず、臨床試験はその第一歩になる」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年11月02日 更新)

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