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酸素濃縮機の小型タイプ開発 山陽電子工業、肺疾患患者が使用

自宅療養用に小型・軽量化した酸素濃縮機

 放送通信・医療機器メーカーの山陽電子工業(岡山市中区長岡)は、肺疾患の患者が使う酸素濃縮機の小型タイプを開発した。同社の従来機に比べ、高濃度の酸素を送る機能を維持しながら約35%軽量化し、サイズもコンパクト化。国の方針で医療が施設から在宅へシフトするのに合わせ、自宅でも扱いやすくした。

 濃縮機は、空気を圧縮して窒素を取り除き、高濃度の酸素にする装置。呼吸機能が衰えた「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患」の患者らが、本体から延びるチューブを鼻に入れて吸引する。

 小型タイプはキャスター付きの箱形で、高さ62センチ、幅30センチ、奥行き35センチ。濃度87%以上の酸素を毎分最大7リットル発生させる。従来機を設計変更し、空気を圧縮するコンプレッサーを小型化したほか、構造材を木製から軽量の樹脂に切り替えるなどし、重量を従来機の40キロから27キロにした。

 同社によると、7リットルタイプは重症患者向けで、主に病院で使われる。医療費を抑制する国の方針で自宅療養の患者が増えていることから、家でも使えるよう軽量でスペースの取らない小型タイプを開発した。

 医療機器商社に販売し、全国の病院にリースしてもらう。患者は医師の処方を受けて使う。オープン価格で年300台の販売を目指す。

 同社は「7リットルタイプでは国内業界で最小、最軽量。高まる在宅医療のニーズに応えたい」としている。

 山陽電子工業は1963年設立、資本金4億4396万円、売上高83億円(2014年12月期)、従業員166人。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年12月14日 更新)

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