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ダイヤ工業、3本爪電動義手完成 構造簡素化、16年1月販売

ダイヤ工業が来年1月に発売する電動義手

 医療用品メーカーのダイヤ工業(岡山市南区古新田)が、奈良先端科学技術大(奈良県)などと共同開発していた電動義手が完成した。軽量物をつかむ機能に特化した3本爪タイプで、構造を簡素化したことで価格を10万円(税抜き)に抑えた。来年1月から国内で発売し、年間100本の販売を目指す。同社が義手を手掛けるのは初めて。

 肘から手の先を補う義手で、装着した上腕部に力を入れたり抜いたりすると、内部のセンサーが筋肉の隆起・収縮を感知し、モーターで爪を駆動させる。爪部分は滑りにくいゴム素材を採用しており、コップ、ペンなど500グラムまでの物をつかむことができる。樹脂製で長さ約40センチ、重さ380グラム。

 基本構造は奈良先端科学技術大が考案し、同社が装着部分の形状や、固定に用いるベルト状サポーターを開発。東京大生産技術研究所(東京)の山中俊治教授が全体をデザインし、国立障害者リハビリセンター(埼玉県)が機能を評価した。

 同社によると、電動義手は筋肉が発する電気信号を感知して動く5本指タイプが主流。構造が複雑なため価格は100万円以上、重さは1キロ程度になる。開発した義手は軽い物をつかむ機能に絞り込んだほか、金型が不要な3Dプリンターで樹脂部品を造ることでコストを抑えた。

 同社は2013年から共同開発に参画。今年10月にドイツと韓国で開かれた福祉機器見本市に出展したところ、低価格で扱いやすい点が評価された。将来の欧州や韓国への販売も視野に、耐久性やサポーターの固定力などを改良してきた。

 ダイヤ工業は「普及には、国ごとに異なる規格への適合や腕回りのサイズの違いに対応する必要がある。製品のバリエーションを増やし、より使いやすい製品に進化させていく」としている。

 同社は1963年設立、資本金1千万円、売上高34億5400万円(15年3月期)。従業員はパート含め約100人。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年12月14日 更新)

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