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皮膚難病 正しく理解を 岡山大付属病院・岩月科長に聞く 患者会や診療連携 支援の輪広げたい

「皮膚難病を一般にも正しく理解してもらい、支援の輪を広げたい」と話す岩月科長

 皮膚病の中にも、そのイメージからなかなか結び付かないが難病がある。どのようなものがあり、また岡山県における医療機関の取り組みはどうなっているのか。岡山大付属病院(岡山市鹿田町)皮膚科科長で、岡山皮膚難病支援ネットワーク責任者の岩月啓氏さんに聞いた。

 ―けが、やけどで皮膚を傷めたとしても、大抵は治る。難病とはどういうものなのか。

 皮膚の構成に必須の成分に生まれつき異常があるか、免疫に異常がおきると、時として命にかかわる難病になる。角層の先天異常だと、体内の水分が失われて生存できない場合もある。表皮細胞同士の接着異常があると、こすったりする刺激で皮膚が容易にはがれて水疱(すいほう)が形成される。コントロールが難しい皮膚の炎症が生じる病気や、遺伝子異常で皮膚に次々に腫瘍(しゅよう)ができる病気もある。

 ―いわゆる難病は、厚生労働省特定疾患事業で認定されているもの。その中に皮膚難病はあるのか。

 特定疾患は現在四十五あり、そのうち皮膚病変を生じる難病は約三分の一。認定されている先天性異常に先天性表皮水疱症、自己免疫性疾患に天疱瘡(てんぽうそう)や、激しい皮膚病変と全身性炎症を伴う汎発性(はんぱつせい)膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)などがある。皮膚や神経系に異常が見られる神経線維腫症も皮膚科で扱う難病。また、研究事業のみの対象疾患に水疱型魚鱗癬様(ぎょりんせんよう)紅皮症(こうひしょう)などがある。

 ―岡山県内に皮膚難病の患者はどのくらいいるのか。

 しっかりとした登録制度がないため、正確な患者数をつかむことは難しい。データとして利用できるのは特定疾患の受給者数だが、これも正確なデータとは言えない。参考までに受給者数(二〇〇四年度末)を挙げると、天疱瘡七十三人、神経線維腫症四十一人、汎発性膿疱性乾癬二十一人、先天性表皮水疱症五人。

 ―岡山県における難病の取り組みはどのようになっているのか。

 岡山大皮膚科教室は、厚生労働省の稀少(きしょう)難治性皮膚疾患調査研究班とベーチェット病研究班に属している。研究班では病態解明や治療開発、地域で患者をいかに支援するかをテーマにしている。そこで二〇〇三年に、同大付属病院皮膚科を中心にして関連病院皮膚科の協力を得て「岡山皮膚難病支援ネットワーク」を設立した。

 ―具体的な活動は。

 遠隔施設から依頼された診断的検査や他科との診療連携、患者会の開催や、遺伝相談・就学就職相談にのることもある。五日の集いでは、難病相談コーナーを設ける。今後の集いでも毎年、コーナーを設置する予定。皮膚難病を一般にも正しく理解してもらい、支援の輪を広げたい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年11月04日 更新)

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