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比でガイドワイヤーの生産強化 医療器具製造のティーアールエス

ティーアールエスが製造するガイドワイヤー(出荷用チューブに入った状態)

 医療器具メーカーのティーアールエス(岡山市北区芳賀)は、カテーテル治療に用いる「ガイドワイヤー」の生産を強化した。前工程を手掛けるフィリピン工場の設備を増強し、生産能力を1・8倍に引き上げた。中国や東南アジア向けの需要増に対応する。

 ガイドワイヤーは、チタン合金などを針金状に成形し、樹脂でコーティングした医療器具。心筋梗塞の治療などで血管にカテーテルを挿入する誘導線として使われる。同社はワイヤーを専門に製造。直径0・2ミリの微細血管用、同0・4~0・9ミリの血管造影検査用など多様なタイプを開発し、OEM(相手先ブランド生産)で国内外の医療機器メーカーに供給している。

 同国のクラーク経済特別区にある成形工場(鉄骨平屋約1700平方メートル)を改築し、先端部の精密加工などを行うクリーンルームを従来の約2倍の500平方メートルに拡張した。ワイヤー全体を細く削る装置も増やした。投資額は約5千万円。

 成形したワイヤーは、岡山リサーチパーク(岡山市北区芳賀)にある開発・製造拠点「生産技術研究所」で親水性などを高める樹脂コーティングを施して完成させる。フィリピン工場の増強により年産能力は従来の50万本から90万本となった。

 富裕層の増加や高齢化で先端医療のニーズが高まる中国や東南アジア向けの受注が拡大していることから設備投資を決めた。2015年10月期見込みで6億5千万円の売上高を、20年には10億円に高めたい考え。

 橋本輝夫社長は「今後も生産体制を強化するとともに、医師の要望に応える少量多品種の製品開発に磨きを掛け、成長するアジア市場で販路を広げていく」と話している。

 ティーアールエスは1997年、埼玉県越谷市で設立。資本金3千万円。従業員約50人。08年に岡山市に生産技術研究所を設け、開発や製造などの主力拠点とした。登記上の本社は越谷市。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年12月17日 更新)

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