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自家腎移植、内視鏡ロボで成功 国内初、岡山大病院で実施

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)で17日、内視鏡ロボットを使い、機能低下が懸念される腎臓を切り取って体内の別の場所に移す「自家腎移植」が行われ、無事成功した。傷口が小さく、出血が少ないなど患者の身体的負担が軽いのが特長で、ロボットによる自家腎移植は国内初。高度な操作技術が求められるため、同様の手術は世界でも数例しか報告がないという。

 同大病院泌尿器科によると、患者は、腎臓から膀胱(ぼうこう)に尿を送る左の尿管が細くなる尿管狭窄(きょうさく)症を患う30代女性。手術では、下腹部に7カ所の穴を開け、複雑で繊細な動きができるアーム付きの器具を体内に挿入。3次元画像で確認しながら電気メスなどを遠隔操作し、狭窄部分を除いた左の尿管と腎臓を一緒に摘出した後、膀胱の別の部分に移植した。要した時間は約11時間40分だった。

 女性は、約10年前に受けた処置が原因で尿管狭窄症を発症。適切な治療を受けなければ腎機能が失われるため、管がふさがらないよう内部に細いチューブを入れているが、3カ月に1度の交換が必要だった。根治のため検討した開腹手術は、傷口が1カ所で最長20~30センチに達する上、手術時間も15時間程度が見込まれるとして、負担の大きさなどから見送っていた。

 内視鏡ロボットは、同大病院が手術支援用として2010年に導入した「ダ・ビンチ」で、これまで前立腺がんの全摘出手術などで実績を積んできた。担当した荒木元朗講師は「腎がんなどの疾患にも有効な手術。これまで体への負担を理由に敬遠していた患者にとって朗報となる。症例を重ね、手術時間の短縮を図っていきたい」と話した。

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年12月18日 更新)

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