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人工透析装置生産能力2.5倍に 協和ファインテックが工場新設へ

人工透析装置の製造現場。工場新設で生産能力を2・5倍に高める

協和ファインテックが生産する人工透析装置

 医療機器など製造の協和ファインテック(岡山市東区金岡西町)は、来年4月に人工透析装置の新工場を本社敷地内に設け、年間生産能力を現在の2・5倍の3千台に引き上げる。国内の大手医療機器メーカーにOEM(相手先ブランドによる生産)で供給。腎臓病患者の増加を背景に需要が拡大する東南アジアや中南米向けに出荷する。

 人工透析装置は腎臓病患者の血液を抜き取り、老廃物の除去や水分調整を行って体に戻す医療機器。同社は血液を正確なペースで循環させるポンプや配管、透析液の濃度計などを設計・製造し、外部調達した制御ソフトや電子基板と組み合わせて完成させる。

 新工場は鉄骨一部2階延べ約970平方メートル。1階(約800平方メートル)は組み立て作業場や部品倉庫のほか、新型装置の開発室を備える。2階は事務所などを置く。投資額は1億2千万円。

 現在は、ポンプや濃度計などを製造する工程と、それらを装置本体に組み込む工程を本社敷地内の2工場で別々に行っている。新工場では全工程を集約して生産効率を高めるとともに作業場を約2倍に広げ、年産能力を1200台から3千台にアップさせる。既存2工場は産業機械の開発などに転用する。

 工場は高操業が続いており、今後も受注増が見込めると判断。新工場は2020年までにフル稼働させ、現在年間5億円の人工透析装置の売上高を15億円に引き上げたい考え。

 市場調査会社のグローバルインフォメーション(川崎市)によると、世界の人工透析市場は、新興国での医療ニーズの高まりや、腎臓病患者の増加などで今後年平均6・2%ペースで成長し、20年には推計で938億3千万ドル(約11兆円)に達する見込み。

 協和ファインテックの橋本明典社長は「生産効率化で価格競争力を高めながら、各国のニーズに合った機種を開発していきたい」と話している。

 同社は1955年設立。合成繊維製造装置を主力とし、2001年に人工透析装置へ参入した。資本金3700万円、売上高約22億円(15年2月期)、従業員180人(パート含む)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年12月24日 更新)

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