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嘔吐、下痢の感染性胃腸炎 猛威振るう 手洗い、加熱 岡山県呼び掛け

感染性胃腸炎の患者発生状況(グラフ)

 激しい嘔吐(おうと)や下痢、発熱を伴う感染性胃腸炎が岡山県内で猛威を振るっている。岡山県の調査によると、患者発生数は今月に入り急上昇し、直近では過去5年(2001―05)平均の約5倍に達している。県は手洗い、うがいの励行や、調理の際の十分な加熱を呼び掛けている。

 感染性胃腸炎はノロ、ロタなどのウイルスや細菌が原因で、便や食べ物を介して感染。秋から冬にかけて流行する。通常二日ほどで回復するが、抵抗力が弱い高齢者や乳幼児は脱水症状を起こし重症化することもある。

 県内五十四の医療機関を対象とした県の感染症発生動向調査によると、患者発生数は十月中旬から目立ち始め、十一月六日からの一週間で千百二人。前週(五百六十八人)の約二倍に急増し、同時期の過去五年平均(二百九人)の五・三倍となっている。

 地域別では、特に倉敷市保健所管内で流行が目立つ。十一月六日から一週間の一医療機関当たりの発生数は四三・七人と、岡山市保健所管内(二三・七一人)の二倍近く。倉敷市内の小学校やホテルでは今月に入り、給食や料理に含まれたノロウイルスによるものとみられる集団感染が発生した。倉敷市保健所は「ノロウイルスは感染力が非常に強く、衛生対策が不十分だと一気に広がりやすい」と分析する。

 昨季は福山市や岡山市の特別養護老人ホームで集団感染により入所者が死亡しているだけに、県も警戒。来年一月下旬まで、老人ホームや保育園などを対象に保健所単位で対策研修会を開くほか、県内の幼稚園や小中学校に注意を呼び掛ける文書を配布した。

 県健康対策課は「例年ピークは十二月で、さらに拡大する恐れもある。繰り返し感染することもあるので注意を」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年11月24日 更新)

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