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市民公開講座「たばこと病気」



そろそろ本気で禁煙してみませんか? -禁煙外来のススメ-
診療部長代理(内科) 川井 治之


 分かっていてもなかなかやめられないのがたばこです。そこまで害があるのになぜやめられないのでしょうか? 喫煙者の70~90%はたばこをやめたいと考えています。ただし意志の力だけでは3~7%しかやめられないという調査結果もあり、意志に頼っているだけでは禁煙は難しいのです。

 喫煙の本質はニコチン依存症という脳の病気です。たばこを吸うと7~15秒で脳にニコチンが入ります。脳細胞にニコチンがくっついてドーパミンが放出されます。ニコチンは脳内の神経物質の調整を通してマインドコントロールします。

 ニコチン依存症は、身体的依存(ニコチン切れによる禁断症状)・心理的依存(吸いたい気持ち)・習慣的依存(喫煙が生活の一部に組み込まれている)の3つが複雑に絡み合い、喫煙がなかなかやめられないのです。たばこを吸うとストレスが増えます。ニコチン血中濃度が減ってくるとイライラしてきます。これを解消するためにたばこを吸い、吸った瞬間だけほっとしているのです。たばこをやめればこのストレスは減るでしょう。このことがわかれば心理的依存から抜け出しやすくなります。

 身体的依存の禁断症状に対しては、禁煙外来の禁煙補助薬が効きます。薬物療法には、ニコチンパッチ・ニコチンガム・チャンピックスがあります。ニコチンパッチはニコチンを皮膚から吸収させる貼り薬で離脱症状を抑制します。ニコチンガムは口の中の粘膜からニコチンを吸収させるガム製剤です。チャンピックスは飲み薬で、ニコチンをブロックするとともにたばこを吸わなくてもニコチンの代わりにこの薬が少量のドーパミンを放出し、禁煙に伴う禁断症状を抑えます。

 禁煙外来は12週間5回の通院で禁煙できます。薬物療法(ニコチンパッチかチャンピックス)と行動療法によるカウンセリングを行います。治療費は3割負担でニコチンパッチは13000円、チャンピックスは20000円です。1日あたり200円程度で、たばこよりも安いのです。禁煙外来を利用して、我慢の禁煙から賢い禁煙をしましょう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年01月12日 更新)

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