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NPO認証で病弱児学習支援推進 岡山の「ポケットサポート」始動

ランチルーム学習会で入院中の子ども(手前2人)に勉強を教えるポケットサポートの三好代表(左)とボランティアの大学生=岡山大病院入院棟2階

 長期入院や在宅療養で通学できない子どもたちを学習支援している「ポケットサポート」(岡山市北区)がNPO法人として認証され、スタッフを充実して始動した。岡山大病院(同市北区鹿田町)とも協力し、入院中の子どもを対象に院内ランチルームで定期的に学習会を開いている。

 ポケットサポートは三好祐也代表(30)が2011年ごろから個人として活動。三好さんは腎臓のネフローゼ症候群のために小学校入学から中学2年まで8年間の大半で入院生活を送り、院内学級で学んだ。岡山県内の高校に院内学級がないことや、退院して在宅療養すると学習機会がなくなることに疑問を持ち、岡山大大学院に進学して病弱児教育を研究。子どもたちの自宅を訪問したり、入院中の病棟ベッドに足を運んだりして勉強を教えるようになった。

 より幅広い支援を目指してNPO設立を申請。同大大学院助教ら3人が理事、監事になり、昨年11月に登記した。正会員に10人、子どもたちに勉強を教えるボランティアも大学生10人が登録し、学習会ができるようになった。

 岡山大病院入院棟2階の食堂では、週2回程度、午前中に学習会を開いている。治療と重なって院内学級の授業を受けられなかった小中学生や、入院中の高校生が都合のつく時間に姿を見せ、宿題を教わり、苦手な教科をアドバイスしてもらう。遊びを交えて子どもたちの悩み事相談に乗る日もあるという。

 小学1年生の男児(7)は「元気になったら自転車に乗りたい」と笑顔を見せながら漢字の書き取りにいそしむ。ボランティアの就実大教育学部3年金得涼乃さん(21)と同2年佐藤詩織さん(19)は「一生懸命勉強する姿に刺激を受ける。普段は病気の子どもに直接関わることはないので、私たちにとっても貴重な機会」と話す。

 学習会だけでなく、夏祭りやクリスマス会を開き、遠足で香川県直島へ出掛け、病弱児家族が楽しみながら情報交換し、交流を深めている。三好代表は「在宅療養中の子どもが集まって勉強したり、遊んだりできる『院外学級』のような拠点をつくりたい。タブレット端末などを使い、インターネットを活用した学習支援にも取り組みたい」と夢を広げている。

 サポート・賛助会員や学習支援のボランティアを募っている。問い合わせは事務局(090―7590―0571、pokesapoke@yahoo.co.jp)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年01月19日 更新)

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