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糖質の一種 白内障に効果 岡山大・松尾助教授が確認 水晶体濁り抑制 目薬に応用期待

松尾俊彦助教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の松尾俊彦助教授(眼科学)は、糖質の一種に、高齢者に多い白内障の進行を抑える効果があることを突き止めた。目の“レンズ”となる水晶体の濁りを抑制。目薬などへの応用が考えられ、手術など患者の負担軽減につながる成果として注目される。

 水晶体には透明のタンパク質がつまっているが、年を取るに連れ中身が硬くなり、濁ってくる。濁りが強くなると光が通らずかすんで見える。

 松尾助教授は、林原生物化学研究所(岡山市下石井)が量産化に成功した、四個のブドウ糖が環状につながる「環状四糖」といわれる糖質に着目。同助教授は、天然糖質・トレハロースが角膜の表面が乾きやすいドライアイの治療に効果があることを実証しており、環状四糖も何らかの効果があるとみて研究をスタートさせた。

 実験は、ブタの水晶体を生理食塩水に浸した場合と、環状四糖を加えた生理食塩水に浸した場合とで比較。白内障の症状となる「濁り」がどの程度起きるか調べた。

 その結果、生理食塩水だけだと一週間後から濁り始め、四十日後には完全に変色。これに対し、環状四糖を加えた生理食塩水では三十日たってもほぼ透明な状態を保ち、四十日後も濁りは半分程度に抑えられた。

 水晶体の濁りは規則正しく並んでいるタンパク質の分子配列が崩れることで起きると考えられており、環状四糖にはそれを防ぐ作用があるのではないかとみて、今後詳しく分析する。

 松尾助教授は「老人性白内障に加え、他の病気に併発する白内障にも応用できれば、予防や治療効果は大きい。目薬などを開発した上で、臨床試験で効果や安全性を確かめたい」と話している。


原因究明に向け手がかりの一つ

 小原喜隆独協医科大教授(眼科学)の話 詳細なデータ分析が必要だが意義ある研究成果だ。白内障の原因究明に向けた手がかりの一つになるだろう。



ズーム

 白内障 加齢による老人性白内障が最も多いが、若くても糖尿病やアトピー性皮膚炎などから発症する場合がある。原因はよく分かっていない。治療として、水晶体を取り除いてレンズを挿入する手術を行ったり、点眼液や内服液を服用し進行を遅らせる手法がある。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年05月20日 更新)

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