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岡山県内 狂犬病で波紋 空港、港湾で啓発、医療機関に問い合わせ… 専門家 「冷静な対応を」

岡山空港に掲示された狂犬病への注意を呼び掛けるポスター

 国内で三十六年ぶりに発症、患者二人のうち一人が死亡した狂犬病に対する警戒が、岡山県内でも強まっている。空港や港湾は啓発に努め、医療機関には問い合わせが舞い込む。予防接種など年末年始の渡航準備にも影響を与えそうだが、専門家は「まずは動物にかまれない行動を」と冷静な対応を求めている。

 狂犬病は、すべてのほ乳類に感染の恐れがあり、かかった動物にかまれるとウイルスが体内に侵入。発病するとほぼ100%死亡する。日本では一九七〇年を最後に途絶えていたが、アジアを中心に海外では多発している。

 年末年始の国際線を例年五千人が利用する岡山空港(岡山市日応寺)では、広島検疫所が十一月下旬、注意を促すポスターを張り出した。「動物に手を出さないように」「かまれた方は申し出を」と二種類掲げ、各国の発生状況も地図で説明。「狂犬病ワクチンを備えた医療機関のリストも用意した」と同検疫所岡山空港出張所。水島港(倉敷市)でも同様のポスターを掲示した。

 県民の不安も高まっており、同検疫所が予防接種機関として公表する倉敷市の総合病院には、渡航予定者らからの相談電話が相次ぐ。「万一に備え、ワクチン常備態勢は維持したい」と同病院薬剤部。

 ワクチン製造元の財団法人(熊本市)には引き合いが増えているという。「今後さらに需要が急増すれば対応が難しくなる」と戸惑いを見せる。

 県内の医療現場からはワクチンの入荷遅れの声も上がる。このためワクチンを備える岡山市の内科医院は、海外で①動物にかまれた②長期間滞在予定③動物を扱う―などと優先順位を決め、リスクの高い順に接種するよう配慮しているという。

 県などによると、狂犬病ワクチンは予防接種の場合、十分な免疫の形成に初回と四週間後、さらに半年―一年後の計三回の接種が必要。ただ、かまれた後でも、〇―九十日間で計六回接種すれば、発病は防げる。

 広島検疫所の市場洋三検疫衛生課長は「予防接種は必ずしも全員が受ける必要はない」と指摘。その上で「海外では動物にかまれないような行動を取ってほしい。仮にかまれてもプログラムを守ってワクチンを接種すれば大丈夫」と過剰反応をいさめている。

 県内では最寄りの保健所などで予防接種などの問い合わせを受け付けている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年12月07日 更新)

タグ: 健康医療・話題感染症

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