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人工透析手術の器具開発へ ケイ・テクノ、精度向上狙う

カテーテルの挿入ルートに沿わせた器具の試作品

 樹脂加工のケイ・テクノ(倉敷市連島町連島)は岡山大などと共同で、人工透析手術の際、カテーテル(細管)の挿入ルートを患者の体表に描く器具の開発を進めている。挿入ルートの目印を付ける道具で、手術の精度向上につなげる狙い。

 人工透析は、加齢などで血管が弱った患者に対しては、最初に手術によって右胸から頸(けい)部、心臓付近へとカテーテルを血管に挿入する必要がある。ルートがU字状に大きく曲折するため、比較的挿入が難しいとされる。

 器具は、金属の輪を約40個連ねたベルト状の樹脂。長さ40センチ、幅1・5センチ、厚さ0・2センチ。医師は患者のエックス線画像を見ながら体に器具を配し、輪の部分にペンで印を付けて挿入ルートを描く。

 これにより医師は印を見ながらカテーテルを挿入できる。現在は基本的にエックス線画像のみを参考に挿入しているため、医師の技術と経験に頼る部分が大きく、カテーテルの長さが合わず挿入し直すケースもあるという。

 器具は、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の大原利章助教と、重井医学研究所付属病院(岡山市)の桜間教文外科部長が考案し、ケイ・テクノが特殊加工した樹脂で試作した。同病院が臨床試験をしており、2016年度中の実用化を目指す。

 ケイ・テクノは半導体製造装置などの樹脂部品製造を主力とし、医療分野の開発は初めて。唐井利昌社長は「国内では高齢の透析患者が増えており、早期に製品化したい」と話している。

 同社は01年設立、資本金300万円、売上高8500万円(15年4月期)、従業員9人。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年03月11日 更新)

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