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12歳少女「門脈閉塞」手術成功 岡山医療センター、自身血管でバイパス

退院を前に中原医長から検査結果を聞く中田さん(中央)と母親=4日

 国立病院機構岡山医療センター(岡山市北区田益)で、肝臓の入り口にある血管が詰まる「肝外門脈閉塞(へいそく)症」を患う12歳の少女に、自身の血管を使ったバイパス手術が行われ、無事成功した。少女は4日、退院した。同センターによると、同閉塞症は投薬などの内科的治療が一般的で、小児への手術が行われるのは中四国地方で初めてとみられる。

 同閉塞症は、消化管から吸収した栄養や代謝物を肝臓に運ぶ血管「門脈」が何らかの原因で詰まり、脾臓(ひぞう)が腫れて血小板や白血球が減少したり、消化管出血による吐血や下血をしたりする。貧血などを伴い、通常はそれぞれの症状に対する投薬や内視鏡での治療を行う。全国疫学調査(2005年)では国内の患者数を340~560人と推計している。

 手術を受けたのは、岡山市立高島中学校(同市中区賞田)に今月入学の中田未紘さん。小学1年生の時、同閉塞症と診断され、治療を続けてきたが、成長とともに症状は悪化。学校を休んだり入院したりする回数が増え、根治できる可能性のある手術を決断した。

 春休みに入った3月23日に手術。執刀医の中原康雄・小児外科医長によると、手術は中田さんの左の首から採取した血管を使い、門脈の詰まった部分を迂回(うかい)させるように、肝臓から外に伸びた門脈系の血管と、肝臓内で分岐した門脈の細い血管をつないだ。約10人のチームで行い、9時間程度で終了した。

 しばらくは薬を飲む必要があるが「血流もよく、経過は順調。将来的には薬も必要なくなるだろう」と中原医長。中田さんは「体がだるくなくなった。入学式に間に合い、うれしい。小学校の修学旅行は行けなかったので、中学校では友達と一緒に学校行事にたくさん参加したい」と話した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年04月05日 更新)

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