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(1)検診に行きましょう おおもと病院総看護師長 大久保茂美

大久保茂美・総看護師長

「検診」への一歩を

 日本では乳がんが年々増加しており、女性のがんの第1位になっています。その半面で、乳がん検診の受診率は20~30%と低い状況にあります。乳がんは「早期に発見すれば適切な治療により治癒を見込めるがんである」と言われています。つまり、早期発見が重要で、そのためには定期的に乳がん検診を受けることをお勧めします。「忙しい」「平日は時間が取れない」という方には、日曜日(日程は限定)に乳がん検診が受けられるような取り組みをしている医療施設もあります。

 「マンモグラフィーは痛い」「恥ずかしい」などの理由で乳がん検診は気が進まないという方は、「友達と誘い合わせて行く」「女性の医師や技師が対応してくれる医療機関を探してみる」など、なにかしらきっかけを見つけて「検診」への一歩を踏み出していただきたいと思います。

70代以上の方も

 乳がんの罹患(りかん)率は30代後半から増加しますが、20代でも発症する方はおられます。特に多い年代は40~60代と言われていますが、70代以上の方の乳がんも少なくありません。以前、街で一般の方に「乳がんの自己検診の体験」をしていただこうと声をかけた際に、「私の年齢でも乳がんになりますか」と言われ、少し驚いたことがありました。その方の年齢をはっきりとはお聞きしませんでしたが、「ある程度の年齢になると乳がんにはならない」という認識の方もいることにその時気づきました。

 現在、マンモグラフィー検診の対象は40歳以上です。乳がんになりやすいと言われている40~60代の方だけでなく、70代以上の方も定期的に乳がん検診を受けることをお勧めします。

毎月1度の自己検診

 乳がんは「自分で発見できる数少ないがんの一つ」と言われています。「たまたま触ったらしこりに気づきました」「テレビで乳がんのことをやっていたので、自分でも触ってみたら気づきました」など、自分でしこりに気づいた乳がん患者さんのお話を何度か聞いたことがあります。「しこり」があっても乳がんでない場合も多くあります。また、自己検診をしていれば必ず乳がんを見つけられるというわけではありませんが、定期的に乳房をチェックして、自分の乳房の状態を知っておくこと、変化に早く気づくことが大切だと思います。

乳がん検診と自己検診で乳がんから自分を守りましょう

 乳がん検診を受けて異常なしと言われている方でも、次の検診まで大丈夫とは限りませんし、マンモグラフィーも万能ではありません。自己検診で乳房の変化や異常を感じたら医療機関を受診し、精密検査を受けることをお勧めします。

 マンモグラフィー検査は乳がんによる死亡の危険性を減らすことが証明されていますが、マンモグラフィーで映し出せない乳がんがあるのも確かです。

 「自己検診で異常がなかった人も、乳がん検診を受けましょう」「乳がん検診で異常なしと言われた場合も、自己検診は続けましょう」と日本乳癌(がん)学会のガイドラインでも勧められています。定期的な自己検診と定期的な乳がん検診で、乳がんから自分を守りましょう。

◇ おおもと病院(086―241―6888)

 おおくぼ・しげみ 倉敷古城池高、岡山県立短大看護科卒。1988年からおおもと病院に勤務、2006年から乳がん看護認定看護師として活動。14年から総看護師長。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年04月18日 更新)

タグ: がん女性おおもと病院

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