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老化抑制クロトー遺伝子 腎機能も保護 川崎医大・柏原教授グループ 効果を初確認

柏原直樹教授

 川崎医科大腎臓内科の柏原直樹教授(49)らの研究グループは、老化を抑えるとされる「クロトー遺伝子」が、腎機能を保護する役割を果たしていることをマウスの実験で確かめた。腎障害の新たな治療法開発の可能性を示す成果で、20日までに米科学誌に発表した。

 同遺伝子は、カルシウム代謝の促進など老化抑制にかかわるとされるが、腎機能への関与を明らかにしたのは初めて。

 柏原教授らは、実験用につくりだした同遺伝子欠損マウスが、動脈硬化、骨粗しょう症など腎不全でもよくみられる症状が現れることに着目。同遺伝子からつくられるタンパク質が脳や腎臓に発現することから、腎機能と関連があると推測した。

 実験では「腎不全マウス」と、クロトー遺伝子を過剰発現させた「クロトー・腎不全マウス」を各二十七匹用意。四十週時点での生存率を比べた。その結果、腎不全マウスの42%に対し、クロトー・腎不全マウスは79%と二倍近い生存率を示した。

 さらにクロトー・腎不全マウスは、体に有害な活性酸素の軽減や、細胞内エネルギーをつくり出すミトコンドリアの機能異常の改善もみられた。いずれも腎不全の悪化要因とされており、同遺伝子による腎機能の保護効果を裏付けた。

 柏原教授は「クロトー遺伝子の働きを強める方法が確立されれば、腎不全の新たな治療法につながる可能性がある」と話している。


臨床にも有望

 荻原俊男・大阪大病院長(老年腎臓内科学教授)の話 腎炎や糖尿病性腎症など腎機能障害の予防や治療の可能性を示す極めて重要な研究。遺伝子治療の手法を応用することなどにより、臨床治療にも有望と言える。


ズーム

 クロトー遺伝子 1997年に日本の研究者らが発見した。同遺伝子を欠いたマウスは、若くても動脈硬化や骨粗しょう症などの老化現象を示し短命。その後の研究で、老化を抑制するさまざまな働きを持つことが指摘されている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年02月21日 更新)

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