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岡山大病院、脳動脈瘤に新治療法 ステント利用、中四国で唯一実施

新しい方法で行われた脳動脈瘤の治療=3月17日、岡山大病院

 脳の血管が膨らんでこぶ状になり、破裂すると、くも膜下出血を起こす「脳動脈瘤(りゅう)」のうち、根治が難しいとされる大きなこぶを対象にした新たな血管内治療法を岡山大病院(岡山市北区鹿田町)が取り入れている。筒状の器具(ステント)を使ってこぶへの血流を遮る仕組みで、中四国地方では唯一の実施施設という。

 「コイル塞栓(そくせん)術」と呼ばれる従来の治療法は、足の付け根から脳血管内にカテーテルを入れ、こぶの中にコイルを詰めて血液の流入を防ぐが、こぶが大きいと完全にふさげなかったり、再発のリスクが生じたりする。

 新しい治療法はカテーテルを使い、細かい網目状の金属でできたステントをこぶ部分に配置。血液をステントに通すことでこぶへの血液流入を減らし、こぶが徐々に小さくなる。ただ、ステントに血の塊(血栓)ができないよう、血液を固まりにくくする薬を長期間服用する必要がある。

 新治療は昨年10月、一部の血管にできた直径1センチ以上の大きさのこぶに限り保険適用となった。全国12施設で導入されており、岡山大病院は同12月以降に4例を行い、いずれも経過は順調という。

 脳動脈瘤は、脳ドックの普及で早期治療につながりやすくなっているが、破裂への不安を抱える患者は少なくない。3月中旬に同病院で治療を受けた女性(67)=山口県=は「動脈瘤が見つかってから、破裂しないかどきどきしていた。不安から解放されてうれしい」と話す。

 同病院IVRセンターの杉生憲志准教授は「高度な技術を要するため、今は治療できる施設が限られているが、医師の養成と医療機器の改良が進めば、将来は脳動脈瘤の治療を大きく変える可能性がある」と期待している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年05月13日 更新)

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