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タミフル10代使用中止「冷静、柔軟に判断」 岡山県内医療関係者 今後の調査注視

乳幼児を問診する小児科医。10代への使用中止が決まったタミフルをめぐる動向を注視する=岡山市内の総合病院

 転落事故の続発などでインフルエンザ治療薬「タミフル」の10代への使用中止を厚生労働省が打ち出したことについて、岡山県内の医療機関や県は冷静に受け止める一方、劇的な治療効果があるだけに今後の調査結果を注視している。

 津山中央病院の梶俊策小児科部長は「異常行動が十代に多く、命の危険があるインフルエンザ脳炎が幼い子に多いことを考えれば、厚労省の判断は妥当では」。最近は保護者がタミフルを断るケースが増えているという。

 使用中止の影響について、国立病院機構岡山医療センターの久保俊英小児科主任医長は「使わなくても、日ごろ健康な患者なら発熱が長引くぐらいで医学的な不利益はない」とするが、高熱が続くと危険な患者には柔軟に判断するという。

 岡山赤十字病院の国富泰二小児科部長も「十代の保護者がタミフルを希望すれば、しっかり説明した上で処方することはありうる」と話す。

 薬と異常行動の因果関係には慎重な見方も。川崎医科大の尾内一信教授(小児科学)は「高熱が続くためインフルエンザそのものに異常行動が発生することもある」とし、「当病院でもタミフルを服用していなくて二階から飛び降り骨折した患者がいる。厚労省の対応を見極めたい」という。

 一方、県は二十二日、厚労省の見解を県医師会、県病院協会などに通知したが「因果関係がはっきりしない段階でこれ以上の対応は難しい」と県医薬安全課。

 尾内教授は「タミフルには劇的な解熱作用という有効性があり、必要以上に制限すれば、助かる人が助からなくなってしまう。冷静な判断が必要」と指摘する。


一歩間違えば転落も 三男異常行動 倉敷の父親

 「もしかしたら息子も事故に遭っていた」―。タミフルを服用後に小学生だった三男が異常行動を起こしたという倉敷市の父親(44)は、十代への使用中止が決まったことに「国には(異常行動との)因果関係の徹底解明を望みたい」と話した。

 二〇〇五年十二月下旬、小学六年だった三男が三九度前後の高熱を出し、地元の急患センターを受診。A型インフルエンザと診断され、処方されたタミフルを朝晩で計二錠服用した。

 就寝時は心配して母親がそばに付いていたが、午前零時半すぎ、三男は突然目を覚まし、布団を抜け出して二階寝室の窓から外に出た。気付いた母親が後を追うと、ひさし(地上約二・五メートル)の上で腰掛けたり、うつぶせになったりしていたという。

 すぐに寝室に呼び戻したが、三男は「ほほが熱っぽく感じたので体を冷やしていた」というだけで、なぜ室外に出てそうしたのかは、本人もよく分からないという。

 父親は「一歩間違えば転落事故になっていた。普段の息子からは説明が付かない行動」と話し、「異常行動との関連が解明されなければ患者は安心できない」と詳しい全体調査を求めている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年03月23日 更新)

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