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岡山県内「いきなりエイズ」減少 15年 感染21人中、発症4人

 岡山県内で2015年に新たにエイズウイルス(HIV)への感染が確認された21人のうち、既に発症していた「いきなりエイズ」と呼ばれるケースは19%の4人で、13年(15・8%)に次いで過去2番目に低い水準だったことが県のまとめで分かった。感染リスクが高い人に検査の呼び掛けを強めた効果とみられる。県は「潜在的な感染者は判明者よりはるかに多い」とし、6月1日からのHIV検査普及週間に合わせ夜間検査などを行う。

 県によると、15年に感染が判明したのは全て男性。年代別では20代7人、30代1人、40代5人など20~40代が62%を占めた。感染経路はほとんどが性的接触とみられる。

 エイズは感染段階で治療すれば発症を抑えられ、別の人への拡大も防げる。ただ、検査や治療を受けないまま発症する人も多く、10年には、こうした新規患者(いきなりエイズ)が感染者の半数(11人)に上ったことから県は検査の普及を重点的に進めてきた。

 感染リスクが高いとされるMSM(男性同士で性交渉する人)の団体と連携して検査場所・日時を周知したり、バナー広告を専用サイトに掲載。15年は新たに岡山、倉敷市内の診療所3カ所で、MSMに限定した検査を実施し、1人の感染が新たに確認された。

 県エイズ医療等推進協議会会長の和田秀穂・川崎医科大教授は「HIV感染者の8割がMSMというデータもある。引き続き、感染リスクの高い人に重点的に検査を受けてもらうことが予防効果につながる」と話す。

 一方、各保健所や拠点病院など県全体での検査件数は1311件で14年より179件減り、4年続いていた増加が途切れた。県健康推進課は「早い段階で治療すれば社会生活を普通に送れることなどを周知しながら、検査を受けやすい環境を整えていきたい」としている。

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 6月1日からのHIV検査普及週間に合わせ、県内の各保健所はコンビニに検査場所を記したカードを置くなど啓発事業を進めるほか、夜間や休日の検査も行う。

 岡山市は6日と7日に各午後5時~8時、倉敷市は5日の日曜日午後1時~3時に実施。県の各保健所・支所でも通常とは別の日や夕方に検査をする。問い合わせは県健康推進課(086―226―7331)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年05月28日 更新)

タグ: 感染症

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