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患者癒やす「ホスピタルアート」 カンボジアで岡山の中山さん制作

分娩室の天井に絵を描く中山さん

青空を表現した手術室の天井

 岡山市中区の童画家中山忍さんが、カンボジアで今月開院した病院の天井に、患者を癒やす「ホスピタルアート」を描いた。動物や青空を題材にした優しい絵で「病院を訪れると緊張しがち。子どもらが少しでも安心した気持ちになってくれれば」と願っている。

 病院は、発展途上国で小児医療支援をする非政府組織(NGO)のジャパンハート(東京)が建設。外科、内科、小児科、周産期科があり、手術室などを備える。日本人、カンボジア人の医師や看護師が常駐し、患者を無償で受け入れるほか、現地の医療者育成の場としても活用する。

 子どもらの心に響く「童画」を描く中山さんは「絵を通じて命を救う現場に関わりたい」と約30年前から県内外の病院でホスピタルアートを手掛けている。岡山、倉敷市の病院で勤務経験のある吉岡秀人ジャパンハート代表の講演会などを通じて今回の病院建設を知り、絵の制作を申し出た。

 4月27日から現地入りし、1週間かけて制作。子どもの手術室、大人の手術室、分娩(ぶんべん)室の計3室の天井に、アクリル絵の具でサルやバナナ、虹や小鳥などを柔らかいタッチで表現した。「手術台に寝たとき、絵を見て不安が和らぐように」という思いを込め、カラフルで、青空に浮かぶ雲をハート形にするなど遊び心あふれる作品に仕上げた。

 ジャパンハートによると、カンボジアの医師数はアジア諸国の中で最低水準。貧困層は基本的な医療を受けられない状況が続いているという。中山さんは「絵が患者を励まし、病院が評判を呼ぶことで、現地の医療環境が向上すればうれしい」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年05月30日 更新)

タグ: 医療・話題

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