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乳房温存手術に指針 乳癌学会初めて策定 可否の判断統一

 がん組織だけを摘出し乳房を残す乳房温存手術の可否判断などを統一するため、日本乳癌(がん)学会は、医師向けのガイドライン(指針)を初めて策定した。全国どの病院でも最適な診断・治療が受けられるようにする狙い。十日から倉敷市で開かれる学会総会(会長・園尾博司川崎医科大乳腺甲状腺外科教授)で発表する。

 疫学・予防▽検診・診断▽外科療法▽放射線療法―の四テーマで構成。乳房温存手術は、腫瘤(しゅりゅう)の大きさが一定以上の場合、抗がん剤で縮小して施術すること、放射線治療と併用すること、術後三年間は三カ月に一度定期検診を行うことなどを記した。

 ガイドラインは、過去に厚生労働省研究班がまとめた指針や、世界中から集めた臨床試験結果を基に策定し、解説も加えた。昨年、薬物療法に関する指針をまとめており、検査から治療、術後管理まですべてそろった。

 同学会臨床試験検討委員会の高塚雄一委員長(関西労災病院外科部長)によると、従来、病院が異なると乳房温存手術の可否の判断がまちまちだったり、独自判断で治療を行う医師もいたという。「病院、地域間の格差をなくし、医療の標準化を目指すのが最大の狙い」とする。

 海外では米国などガイドラインを定めている国が多く、指針に基づく治療をした場合、生存率が高い、とする研究報告もある。

 園尾教授は「指針は医師の診療レベルを底上げするだけでなく、患者も自分の受けている診療に対する理解を深めたり、判断するために利用できる」と話している。

 ガイドラインはテーマ別に本にまとめ、順次発刊する予定。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年06月09日 更新)

タグ: がん健康女性

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