文字 
  • ホーム
  • がん
  • 見えない病変の広がりも把握 放射線治療医の仕事

見えない病変の広がりも把握 放射線治療医の仕事

放射線治療センター副センター長(陽子線部門)
脇 隆博

 2016年5月下旬現在12人の患者さんが陽子線治療を受けています。治療を開始するまでの流れですが、まず医師が初診を行い、その後、治療計画の準備に入ります。医師は、「病変の場所と広がりを画像診断や臨床所見から特定し決定する」という治療の核となる役割を担当し、その他、ビームの角度や本数、それぞれのビームの線量配分の決定、線量分布の作成、といった治療計画を診療放射線技師や医学物理士が担当します。全体的な治療計画ができたら、カンファレンスで計画の修正が必要か判断し、最後に医師が確認・承認をしたのちに治療に入ります。

 陽子線治療外来はかかりつけ主治医からの予約制になります。最近は東京のクリニックや京都、四国の病院からも相談がありました。残念ながら相談いただいた症例はいずれも治療の適応になりませんでしたが、病巣が1カ所であれば17~18センチくらいの大きさで、2カ所以上でもそれぞれの病巣があまり離れていないような場合であれば治療ができます。一般的には新規のがんが治療の対象ですが、再発・転移であっても治療の対象となることがあります。陽子線治療の適応となる条件は手術の適応となる条件と比較的近いです。ただ、病巣が1カ所であっても、病巣の場所や患者さんの状態によっては手術ができない場合もあるので、そういう意味では陽子線治療の適応の方が広いとも言えます。

 治療計画をするためにはCTとMRIを撮り、CT画像をベースとして2ミリ間隔のすべてのスライスで「ここが病巣です」という場所を特定し、色塗りをするような感覚で指定していきます。

 画像で見えている病変だけではなく、画像では見えない病変も見越して指定してあげないといけません。病変の拡がりを特定するためには、画像診断能力はもちろんですが、視診触診の所見や訴える症状など診察によって得られる情報をもとに、目に見えない病変の広がりを把握する臨床能力がとても重要となります。事前の情報把握をしっかり行ったうえで診察に望めるように、準備に力を入れています。

 当院のがん陽子線治療センター開設にあたり、兵庫県立粒子線医療センターで約1年半トレーニングを行いました。今も週1で兵庫に赴き外来診療や治療計画を行っています。兵庫では陽子線治療と重粒子線(炭素イオン線)治療の両方を経験し、頭頚部、骨軟部、肝胆膵、肺、前立腺などの治療を行ってきました。当院では現在、前立腺と肝について自由診療で治療をしていますが、今年7月に先進医療施設の認定取得を見込んでおり、それに合わせて肺、頭頚部、(骨軟部)まで適応を拡大する予定です。7月半ばには胆管がん、転移性腫瘍、8月から膵がんの治療を始めたいと思っています。総合病院であるメリットを生かし、透析が必要な患者さんや全身状態の悪い患者さんなど、放射線科単科施設では対応が困難な患者さんに対しても陽子線治療を提供することが、津山中央病院の使命であると考えています。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年06月22日 更新)

タグ: がん津山中央病院

ページトップへ

ページトップへ