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玉野初の認知症カフェ開設1年 「交流楽しみ」と好評

くつろいだ雰囲気で世間話に花を咲かせる利用者=21日

 認知症の人と家族、地域住民らが集う玉野市内初の認知症カフェ「瀬戸の海」が今月、オープンから1年を迎えた。毎月1回開設されており、利用者からは「気軽に参加して情報交換ができ、交流の輪も広がる」と好評。本年度からは、認知症や介護、行政サービスをテーマにした講座を実施し、魅力アップを図っている。

 「昼食のおかずに自家製の漬物を持ってきた」「コーヒーがおいしいなあ」。世間話に笑顔の花が咲く。

 21日の認知症カフェには37人が参加。会場にはテーブルクロスと花で彩られた机のほか、ゆったりくつろげるようにと畳のスペースも設けられている。認知症予防にと訪れている参加者(80)は「いろんな人と自由に話せるのがいい。妻と一緒に毎月楽しみにしている」と言う。

内容を工夫

 河口医院やグループホームを経営する医療法人こまくさ会(宇野)が、市の委託を受けて運営。「瀬戸の海」の名称には「認知症の人や家族が瀬戸内海のように穏やかに過ごせるように」との思いを込めた。内容は毎回異なり、健康体操、昔遊び、歌、ケーキ作りなど、誰でも楽しめるよう工夫している。

 運営スタッフでグループホームこまくさの山下洋子ホーム長は「朝から1日中、利用してくれる人もいる。居心地のいい空間になっているようだ」と手応えを語る。

 4月から、福祉などの専門家による講座を午前中に行っている。テーマは利用者から要望を聞いて決定。21日は市包括支援センター職員が「いきいきと健やかに暮らす」と題して話した。

 これまでに認知症、介護保険をテーマにしており、市のコミュニティーバス・シーバスや乗り合いタクシー・シータクの利用方法についても予定している。地域のサロン仲間4人で訪れた女性(76)は「健康なうちに聞いておきたい、ためになるテーマばかり」と喜ぶ。

若者も利用を

 開設時間中は、医師、ケアマネジャー、介護福祉士ら専門職が常駐し、認知症の人との接し方、症状などについての相談に応じる。グループホームこまくさ利用者の家族もスタッフとして支える。認知症の母親(95)が同ホームに入所している女性(64)=岡山市中区=は飲み物の準備などを担当しており「経験者ならではの助言ができるので、気軽に相談してほしい」と呼び掛ける。

 1日の利用者数は、冬場に一時20人台に落ち込んだが40人前後が多く、60人を超えることも。河口医院の河口礼子院長は「スタッフに余裕があれば、回数や場所を増やしたい。夏休みには高校生や大学生にも参加してもらい、若い頃から認知症への理解を深めてほしい」と期待する。

 ◇

 認知症カフェ「瀬戸の海」は毎月第3火曜の午前10時~午後3時、すこやかセンターに開設。時間内の出入りは自由。参加費200円(飲み物、菓子付き)。問い合わせは市長寿介護課(0863―32―5534)。

 認知症カフェ 認知症の人や家族、地域住民らが集い、気軽に交流したり、認知症への理解を深めたりする場。厚生労働省が2013年度からの認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)で普及をうたい、財政支援を始めた。15年1月、新たに策定した認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)では、18年度までに全ての市町村に開設するという目標を掲げた。自治体や社会福祉法人などが運営主体となり、県内では16年3月末現在、岡山、倉敷、津山、笠岡市など14市町で計44カ所設置されている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年06月28日 更新)

タグ: 高齢者福祉

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