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イネに「銅」運ぶタンパク質発見 岡山大グループ 貧血防止など期待

馬建鋒教授

 岡山大資源植物科学研究所の馬建鋒教授(植物栄養学)と英国の研究グループは、イネの種子に「銅」を運ぶタンパク質を突き止めた。銅は植物の生育に必須な栄養素の一つ。ヒトの健康維持にも一定量が欠かせず、貧血など銅の欠乏に伴う症状を防ぐ新しいイネの開発が期待される。

 銅は植物が光合成や酵素の活性に用い、鉄や亜鉛とともに生育に欠かせない元素。ヒトの場合、過剰に摂取すると毒性を示す一方、不足すると貧血、運動失調などを引き起こすとされ、とりわけ主食のコメで銅濃度を適度に高めることが銅欠乏症改善の重要な手だてとされる。

 グループは、イネの品種によって種子の銅濃度が異なることに着目し、根の細胞にある輸送体タンパク質「OsHMA4」が関与していることを特定。一つのアミノ酸配列の違いで銅を運ぶ働きが強くなったり、弱くなったりすることが分かったという。このタンパク質を除去したイネでは種子への銅の蓄積が増加した。

 成果は8日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。馬教授は「銅はヒトに欠かせない元素であり、研究が進めばコメによる効率的な摂取が可能になる」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年07月08日 更新)

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