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乳がん闘病の救いに 自身の体験つづる 横山さん(岡山)が「報告書」出版 患者の視点で記述詳しく

「友へ 乳がん報告書」を手にする横山さん

 2004年9月に手術を受け、乳がんを乗り越えた岡山市西隆寺、横山真智子さん(60)が闘病体験をつづった「友へ 乳がん報告書」を出版した。女性のがんで最も多い乳がん。「友をはじめ、女性すべてに向けて書いた。病について知り、切り抜けてほしい」と願っている。

 横山さんは小学校で教諭として障害のある子どもの教育に取り組んでいた〇四年七月、左胸のくぼみに気づき、病院を受診。直径二センチのがんが見つかり、乳房を温存しながら、がんとリンパ節を切り取る手術を受けた。

 「友へ」は所属する同人誌に掲載した随筆をまとめた。手術、倦怠(けんたい)感に苦しんだ退院後半年の抗がん剤治療、副作用の脱毛、主治医のインフォームドコンセントなどについて書いた。「例えば、脱毛は女性の深刻な悩みだが、抗がん剤をやめれば、また生えてくると分かれば、それなりに救いになる」と、患者の視点で詳しい記述を心掛けた。

 「情報があふれている現代で、病院内ほど閉鎖的なところはありません。自分の体について一番知りたいのに、知るための情報がありません」。医療のあり方に疑問も投げ掛けた。この考えは主治医にも伝え、入院した病院の談話室には資料コーナーができたという。

 横山さんは〇五年、病気のため学校を退職したが、念願の英国旅行は果たした。今は飲み薬のホルモン療法を続けながら、孫を世話し好きな読書をして過ごしている。「真っ暗なトンネルの中を手探りで懸命に歩き、やっと明るい場に出られた。がんがいつ再発するか分からない身だが、過去を悔やむより、これからできることに視点を向けたい」と語っている。

 「友へ」は新風舎刊。四六判、二〇七ページ。一八四八円。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年04月27日 更新)

タグ: がん女性医療・話題

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