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脳死・生体肺同時移植に成功 岡山大病院、世界2例目

岡山大病院で行われた脳死・生体肺同時の「ハイブリッド移植」=17日午前9時(同病院提供)

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は17日、重い肺の病気を患う60代男性への両肺移植手術で、脳死した人と生きている人から肺の提供を同時に受ける「ハイブリッド移植」を行い、無事終了した。ハイブリッド移植は同病院が昨年4月に世界で初めて成功させており、同2例目になるという。

 脳死した人から右肺、男性の息子から左肺の一部の提供を受けた。臓器移植医療センターの大藤剛宏教授を執刀医とするチーム約20人が担当。午前8時34分に始まり、約9時間後の午後5時45分に終了した。男性の容体は安定しており、順調なら3カ月ほどで退院できる見込み。

 岡山大病院によると、男性は2012年、肺の組織が炎症を起こし、うまく酸素を取り込めなくなる「特発性間質性肺炎」と別の医療機関で診断され、日本臓器移植ネットワークに登録。その後、ハイブリッド移植を受けるため、岡山大病院に施設変更していた。

 ハイブリッド移植は、脳死肺の医学的な状態が若干悪くても、より良い状態の生体肺と同時に移植することで機能を補う。移植断念のケースを減らせ、比較的早期の移植が実現するという。

 男性は「体力的にぎりぎりのところで間に合った。感謝の気持ちでいっぱい」、大藤教授は「待機中の死亡を減らし、少しでも多くの患者を移植へとつないでいきたい」とのコメントを出した。

 日本臓器移植ネットワークによると、ドナー(臓器提供者)は、静岡県焼津市の病院に脳挫傷で入院中、16日に脳死判定された20代男性。岡山大病院の肺移植手術は155例目で、うち脳死肺移植は75例目。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年07月18日 更新)

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